以前に書いたドキュメンタリーです。ようやくアメリカにてDVDになりました。60分少々と短いドキュメンタリーなんですが面白かった。いや、本当に面白い。声を出して笑ってしまうんです。
ナイジェリアには「Action Film Academy」という学校まで存在する。とは言え、ジャッキー・チェンやジェット・リー...またはスティーブン・セガールやジャン=クロード・バン・ダムみたいなアクションスターを生む学校ではなくて、銃でやられた時のリアクションの仕方などを実践で教えている学校。実際に銃声がなる花火みたいのを体につけて学んでおりました。かと思えば、道着を着て空手の型みたいのを教えていたり。ここから実際にスターとなった俳優が居るのかは分からないですが、生徒は20-30人位居たように感じました。とある映画のオーディション風景もあったんですが、そこでは俳優達がみな空手(のような物)が出来る事をアピールしていたのも興味深い。ナイジェリア発の駄目B級マーシャルアーツ映画が増えるのか...(それはそれでちょっと観たい)。
凄いのが週に30本の映画がナイジェリアで発売されるそうです。それによってポスター張りの少年や、新しい映画のビデオを印刷された箱に詰める仕事やDVDをケースに入れていく作業の仕事とか、色んな仕事をもたらしているんですよね。ドキュメンタリーではその映画産業がナイジェリア経済にもたらすお金もちゃんと言っていましたが凄いです。ドルにして286ミリオン。それを支えているのが、ナイジェリアの首都ラゴスにある秋葉原(映画ではアメリカのソーホーと言っておりましたが)みたいな場所。といっても、秋葉原とは雲泥の差。でもそこで286ミリオンもうんでいるかと思うと凄いです。
しかも殆どの映画が監督の自主制作。一度マスターテープを売ってしまえば、そこで商売はおしまい。まだまだビジネスがしっかりしていないのかな?と思います。コストが1.50ドルで売るのが3.00ドル。もう少しそこが変わって言ったら、ナイジェリアの映画産業はもっと発展するでしょうね。権利や海外に売る事を扱う会社が出来たら大きく変わると思います。
自分で映写機を作ってしまう若いイズという監督は、ちゃんとプロデューサーを従えて、ナイジェリア映画初の戦争映画を作ります。最初はアフリカ版のスパイク・リーみたいな監督だわと思っていたのですが...しかし...ジャングルでの撮影に98日もかかり、キャストやスタッフ代のホテル代だけで大金を借金。しかも食事係りの女性にお金を払えず、みんな空腹で映画を撮る事になりブーイング。みんなイライラしながら映画を撮ってます。このドキュメンタリーではそのイズがこの映画で「アフリカン・ムービー・アカデミー・アワード」と取ったとなっておりますが、調べたら別の作品で取ったようです。
撮影も大変なようで、よく停電してしまいます。発電機が火を噴いたり大変。自主制作の監督はお金掛けたくないので、猛スピードで映画を撮ってます。その監督は「ハリウッドはロケーションだけでも2年かけたりと馬鹿げてる!俺達に映画を取らせたらもっと儲けさせてやれるぜ」と語ってます。更には「ハリウッドはあそこまでになるのに100年も掛かってるんだ。俺達はまだホンの20年でここまでにしたんだぜ。俺達がハリウッドを抜くのはもう少しさ」と語ってます。でもナイジェリアで「Avatar / アバター (2009)」を作るとしたら、やっぱりまだ20年は必要かな??ハリウッドとナイジェリアは映画に求めている物が少し違うように思います。
これを観ると、ナイジェリアじゃないですがセネガルのOusmane Sembene (ウスマン・センベーヌ)監督はいかに偉大であったか... しかも1966年という私が生まれる前に既に「Black Girl / 日本未公開 (1966)」という名作を... センベーヌ監督はアフリカ人が映画に求める話の面白さは当たり前の事、視覚等の芸術性にも優れていましたからね。ウスマン・センベーヌ偉大なり。
でもナイジェリアはナイジェリアで別の魅力があるように思いました。機会があればナイジェリア映画も掘っていきたい。
(4.5点/5点満点中:DVDにて鑑賞)