今年の夏、アメリカ大統領のバラク・オバマの家族が訪れた事で一躍注目を集めたのがマーサズビニヤード。マサチューセッツに属するケープコッドの小さな離れ島。私はマーサズビニヤードには行った事がないが、ケープコッドまでなら行った事がある。ニューイングランドの趣きのある古き良きアメリカ東部という感じの港町。同じ夏でもロサンジェルスのビーチとは全く違う顔を持つビーチが印象的。何となく夏でも寂しげな感じがした。夏の避暑地として知られるのに。ここが映画の舞台になる事も多い。マーサズビニヤードと同じケープコッドの離れ島のナンタケッタ島が舞台なのが「おもいでの夏」という作品。少年が大人になる時が描かれている。そしてマーサズビニヤード島が舞台になっているのが「The Inkwell / ファンキー・サマー・ビーチ (1994)」。こちらもラレンズ・テイト演じる少年がひと夏の経験で大人になる時が描かれている実に繊細な作品。ベトナム戦争後1年たった1976年が舞台。その影が全く見られない黒人ブルジョアの世界が描かれている珍しい作品。マーサズビニヤードが舞台としても有名な作品だ。実際にマーサズビニヤードは黒人ブルジョア世帯が夏の避暑地として好んだ島でもある。そしてあんまり有名ではないが、オプラ・ウィンフリーがプロデュースで参加し、チャールズ・バーネット監督でハリ・ベリーが主役の「The Wedding / ビューティフル・ウェディング (1998)」という作品もこのマーサズビニヤードが舞台。この作品でもやはり主人公達はブルジョアだった。そのマーサズビニヤードで肌の色に翻弄される女性を演じたのがハリ・ベリー。島の寂しげな雰囲気と色が比較的に白かったので運命を翻弄させられた悲劇がピッタリとあっていた。また歴史を振り返る面白いドラマでもあった。
作家のジル・ネルソンはこんな↓本も出版している。
Finding Martha's Vineyard: African Americans at Home on an Island
- 作者: Jill Nelson
- 出版社/メーカー: Doubleday
- 発売日: 2005/05/17
- メディア: ハードカバー
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彼女はニューヨークのハーレム生まれで育ちだが、夏はこのマーサズビニヤードで過ごしていた思い出がある。その本の中で彼女は
Certainly the Vineyard is not a racial utopia, but it was and is better than most places.
(マーサズビニヤードは人種的ユートピアでない事は確かだが、しかし他の場所よりも良いことがある。)
と記している。
多くのメディアが、オバマ家族がマーサズビニヤードで休暇した事をまたマーサズビニヤードの黒人の歴史が一つ増えたと記している。黒人で始めて大統領になったバラク・オバマの家族が始めての夏休みに、このマーサズビニヤードを選んだ事は非常に意味のある興味深い事なのだ。