第44代アメリカ合衆国大統領バラク・オバマ。2008年11月の選挙で勝利し、44代目にしてアメリカ初のアフリカ系アメリカ人が大統領に選ばれた歴史的な出来事であった。あの時の感動は今でも昨日の事のように思い出される。そのオバマが大統領選に出馬してから、話題になったのがこの映画である。『スター・ウォーズ』のダースベイダーの声や、『The Great White Hope / ボクサー (1970)』の論争となったボクシングチャンピオンのジャック・ジョンソンを演じてアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた事もある名優ジェームス・アール・ジョーンズが、オバマ大統領誕生の37年も前に映画の中だが先にアメリカ大統領を演じた歴史的作品である。
西ドイツのサミット出席中、アメリカのフェルトン大統領と下院議長が殺された。本来ならば繰り越しで副大統領が大統領に就任するが、カルヴィン副大統領(ルー・エアーズ)は車いすで自身の体調を理由に、引き継ぐ事を頑なに拒否してしまった。継承順位のその次は国務長官となる。国務長官のアーサー・イートン(ジェームス・アール・ジョーンズ)は、黒人であった。黒人が大統領になった事のないアメリカの歴史が変わろうとしていた。その大役に、イートンは大きなプレッシャーと、そして自分も殺されるのではないか?という恐怖も抱く。そして、政治家の中でもイートンを大統領にしたくない人々の策略が動き出し...
いやー、凄い作品でした。テレビ映画として制作されたが、スポンサーがその内容に激怒して放送されず、劇場公開となった作品。この作品のジョセフ・サージェント監督は数年前に他界されてしまいましたが、面白いテレビ映画を撮り続けてくれました。『Miss Evers' Boys / ミス・エバーズ・ボーイズ〜黒人看護婦の苦悩 (1997) (TV)』と『A Lesson Before Dying / ジェファーソン/冤罪の死刑囚 (1999) (TV)』は最高です。『Buck and the Preacher / ブラック・ライダー (1972)』では解雇されちゃったけれど。ラストが最高に痺れた!大統領を称える曲「Hail to the Chief」と大きな星条旗をバックにスピーチするジェームス・アール・ジョーンズ。この映画、オバマ大統領が大統領選に出ると声明を出した後すぐに公開、もしくはメディア販売するべきだった!恐らく、アメリカの黒人99%があのラストで涙するわ!そしてこれ観ると、オバマ大統領もこんな感じで苦悩しただろうし、大変だっただろうなーと思ってしまいます。この映画のアーサー・イートンとオバマ大統領が物凄くリンクする。2人ともに娘いるし。そんなイートン大統領を嵌めようと悪ーーーい企みをしているのが、バージェス・メレディス演じるワトソン上院。メレディスと言えば、『ロッキー』シリーズのミッキー!私は『ロッキー3』を見る時、絶対に泣かない!と思っていても、確実に毎回ミッキーのシーンで泣いてしまいます。そんなメレディスが物凄ーーーーく悪い人。こういう悪い人居る!という感じで、メレディスも好演。
37年も掛かってしまったが、アーサー・イートンはバラク・オバマという名前に代わって実際に誕生したんだ!あのラストは最高に希望(Hope)に満ちていた。今見ても、やっぱり泣ける。Yes We Can!そして、We Did It!
The Man / ザ・マン/大統領の椅子 (1972)(5点満点:1628本目)