Cast >> J. Walter Smith (Dr. Kincade), Tobar Mayo (Abar), Roxie Young (Mrs. Kincade) ...
Director >> Frank Packard
Writer >> James Smalley, J. Walter Smith
Producer >> James Smalley, J.P. Joshua
総合ポイント >> 4/5点満点
Contents >> 5 Performance >> 3 Direct >> 4 Music >> 4
He Can't Fly, But He Is Fly
キンケイド(J・ウォーター・スミス)は郊外の高級住宅街へ妻と2人の子供と共に引っ越してきた。キンケイドは成功した医師だが黒人という理由だけで、住民達から反発を受けて嫌がらせを受けた。エイバー(トバー・マヨ)率いるワッツ地区で活動しているBFUのグループがニュースを聞いて助けに来た。エイバーは多額の寄付金でボディガードになる事を申し出るが、キンケイド医師は断った。エスカレートする嫌がせに妻は引越ししたいとお願いしたが、キンケイド医師は何かのプロジェクトを成功させる為に引越しを拒否をした。そんな時に大きな事件が起こる。
タイトルや雰囲気からはかけ離れた切なさのある映画だ。悪いブラックスプロイテーションの典型的な悪ノリを感じるタイトルだが、実はちゃんとしたプロットがある。白人の演じたスーパーマンは世界平和の為に生き、暴力には暴力を持って戦うヒーローだ。この(初の)黒人スーパーマンは地域平和の為、そして飽くまでも非暴力の精神で作られたヒーローなのだ。彼にはマーティン・ルーサー・キング牧師がワシントン行進で唱えた「夢」と、キング牧師が一貫して貫いた「非暴力」の元に生まれているのだ。劇中ではキング牧師のスピーチが2回も流れて、そのメッセージを伝える事に成功している。私が感じた切なさはそこにある。ヒーローを生み出した人間は、周りからはアンクル・トム(白人に従順な黒人)と呼ばれながらも意思を貫いて、マルコムXのような戦闘者をキング牧師の生まれ代わりのようなヒーローにするのだ。その過程までをじっくりと描いているので切ないのだ。そしてヒーローになったスーパーマンの一言がまた切ない。「私は道具にすぎないのだ」。
空を自由に飛び回って世界を救うヒーローは確かにカッコいい。このヒーローは心の底から地域改善や人種差別を無くす事を願って、ヒーローの道を選んでいる。本当ならば、普通の人間の姿でそれを解決する事を一番願っているだけに、このヒーローには切なさがつきまとう。
(5/1/09:DVDにて鑑賞)