Cast >> Avery Brooks (Solomon Northup), Rhetta Greene (Jenny), Art Evans, Joe Seneca (Noah) ...
Director >> Gordon Parks
Writer >> Solomon Northup (book), Lou Potter, Samm-Art Williams
Producer >> Yanna Kroyt Brandt
総合ポイント >> 5/5点満点
Contents >> 5 Performance >> 5 Direct >> 5 Music >> 5
What "Freedom" Means
1841年ソロモン・ノーサップ(エイブリー・ブルックス)はニューヨークのサラトガスプリングで様々な仕事をしながら、自由黒人として妻と子供3人と暮していた。バイオリン弾きの才能のあったソロモンは、たまにパーティ等に雇われていた。その時にサーカス団の2人が働いて欲しいと多額の出演料をオファーした。しかしワシントンDCに行かなくてはならず、メイソンディクソン線を越す事になる。ソロモンは2人にちゃんと自由黒人として扱ってもらえる事を約束させたが...
ソロモン・ノーサップはフィクションじゃない。実在した人物だ。彼は自由黒人として暮していた。しかし罠にはめられて、12年間も奴隷として働かされた。ニューヨークでは自由黒人であっても、メイソンディクソン線を越してしまえばそんな事は関係ない。黒人に人権などないのだ。1863年に奴隷解放宣言が出されている。ソロモンが奴隷というものから開放されたのが1853年。ちょうど10年前。でもソロモンは1841年にワシントンDCで誘拐される前まえでは、自由だった。裕福ではなかったが、自由があった。ソロモンはその自由を誰よりも愛していた。だから奴隷となった時には、元々奴隷だった黒人とは意識が全然違う。その衝突する場面も興味深い筈だ。誰よりも自由への執着心が違う。でも、それだけでは生きていけない。老人の奴隷に毎回のように宥められる。彼はその先、また自由を手にする事が出来るのか分からない。絶望的になりながらも希望を失わずに自由へと戦う。老人はその術を教えているようだった。
そしてラストには「みんなも一緒に連れて帰りたい」と話す。しかし老人は「俺たちが助けが必要な事をみんなに言ってくれ」と話す。老人にもソロモンにもその意味が分かっていたのだ。だから本という形に残した。150年を経ても、我々に伝わっているのだから。
彼は誰よりも「自由」という意味を知っていた。自由を一度失った人間だからこそ見えた自由の意味。自分の体験を本に残し、それが後に映画となる事で、我々は本当の「自由」という意味を知る事だろう。
(11/03/08:DVDにて鑑賞)