最強のキャスティング。主役がフレッド・ウィリアムソンでヒロインが「Blacula / 吸血鬼ブラキュラ (1972)」のヴォネッタ・マッギー、そして脇役に「Bucktown / 日本未公開 (1975)」のバーニー・ハミルトン。面白くない訳がないじゃん!と思ったんですがね... 残念ながら監督の采配不足な気がしました。いや、元の物語がそんなに面白くないっていうのもあるのかも??フレッド・ウィリアムソンがボクサーを演じています。そのボクシングのシーンはオーソドックス。1972年の作品なので、ブラックスプロイテーションとしても初期の作品。まだフレッド・ウィリアムソンの魅力も手探りだったのかな??とは言え、彼らしい女にモテモテの役でしたが。その部分はもう確立されている感じ。無意味にエロいシーンも多いです。この前の「アビィ」に比べると断然に多いです。彼女と出かけたクラブでいきなり裸体の女性が踊ってたりします。まあ、そのシーンは狙いがあるので無意味じゃないんですけどね。フレッド・ウィリアムソンとヴォネッタ・マッギーのラブシーンが良いです。といっても、その最中のラブシーンというより、朝のシーン。ベッドの上での朝のいちゃつきシーンが何か可愛いです。そのまま、外に飛び出してデートシーンがあります。お花畑でキスして抱き合うシーンのロングショットがあるのですが、それは何ていうか70年代の青春映画「フレンズ」とか「ある愛の詩」とかにありそうなシーンで笑ってしまいます。フレッド・ウィリアムソンは違和感ありありですが、ヴォネッタ・マッギーは違和感ないんですよね、ああいうシーンが。そういうキュートな感じが大好きです。
今回主要となるその3人も良かったのですが、ハマーのボクシングのトレーナーのプロフェッサーを演じたメル・スチュアートと、白人の右腕ブレナーを演じたウィリアム・スミスも良かった。プロフェッサーは、哀愁あります。「ロッキー」で言う所のミッキー、「あしたのジョー」の丹下のおっちゃんですね。でもミッキーほどにハマーに目をかけている訳じゃないし、丹下のおっちゃん程の情熱もなく...ただ言われた事を淡々にこなすだけ。でもそれも逆に哀愁があるんですよ。で、最後にカッコいい所を見せてくれる。メル・スチュアートは、サンフランシスコを拠点に活躍していたそうで、ダニー・グローバーの演技の先生でもあるそうです。ブレナーを演じたウィリアム・スミスは体格にも恵まれている感じで、悪役にピッタリでした。今でもその恵まれた体を生かした役で頑張ってるみたいです。カルト人気な俳優さんらしいです。
台詞が中々良かったです。ハマーが昔付き合っていた女性の結末みたいのが、結構悲しくて... そんな時にハマーはその女性にお金を持たせようとするんですが、女性はハマーと酷い別れ方をしているので「あんたのお金なんか貰えるか!」とつき返します。このシーンは中々グッとくるシーン。そして最後に悪役がハマーに向かって「誰でもみんな誰かに支配されているんだ」と言います。この台詞もグッときます。随所にいい感じの台詞やシーンがあるんですよね。となると、やっぱり監督の采配不足かな?と思いました。面白いんですよ、でももっと面白くなった筈だと思うんですよね。
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(4.25点/5点満点中:DVDにて鑑賞)