Soul / ソウルフル・ワールド (2020) (VOD) 1789本目
ソウルとは?『ソウルフル・ワールド』
沢山の賞受賞、おめでとうございます。ピクサーの長編アニメーションでは、アフリカ系アメリカ人のキャラが主役で声優というのは初となるのかな。間違っていたらごめんなさいだけど、多分合っている。ピクサー以外ならば、ちょいちょいあるのがアフリカ系アメリカ人アニメ。割りと歴史もあり、人気のジャクソン5がアニメになった『The Jackson 5ive』などは、話数こそ少ないけれど人気だった。あと何と言っても何十年も経ってから実写化されたビル・コズビーの『Fat Albert / ふわっとアルバート (2004)』の元はアニメ。これは超有名だった。映画でも『Robin Harris' Bebe's Kids / ベベズ・キッズ/俺たちラップが子守歌 (1993)』というクラシックが存在する。最近でもTVシリーズだったら、『ブーンドックス』、『ブラックパンサー』(TVアニメ版)、『ブラック・ダイナマイト』、『The Proud Family』、『Mike Tyson Mysteries』etc... リストは続く。ただピクサーが今までなかっただけで、アフリカ系アメリカ人アニメーターの世界も沢山の人材を生んでおり、活躍している。ピーター・ラムジーとかラショーン・トーマスとかカール・ジョーンズとか。そんな中、ピクサーから『ソウルフル・ワールド』が誕生した。
ジョー・ガードナー(ジェイミー・フォックス)は、中学で音楽の先生をしながら、ジャズミュージシャンを目指していた。母(フィリシア・ラシャド)は、ジョーには安定している先生の仕事を続けて欲しいと願っていた。そんな中、憧れのジャズシンガー、ドロシア・ウィリアムズ(アンジェラ・バセット)がバンドのオーディションをやっていると聞き、見事に勝ち取った。浮かれて歩いていた所、ジョーはマンホールに落ちてしまい、気が付くと「グレート・ビヨンド」と呼ばれるソウルの世界を彷徨っていた。どうやら「きらめき」を見つければ、地球に戻れるとしり、躍起になるが...
日本的に乱暴に書いてしまえば、いわゆる三途の川を渡る前で浮かばれずに彷徨っている状況ってことですよね。ジョーの場合はこれからという時に... なので後悔ばかりが残る。そんな中、ジョーは必至に「きらめき」を探すことになる。これは大変だと思う。人生長く生きていても「きらめき」なんて、早々出合えない。というか、「きらめき」って何よ! と、普通の大人なら一番先に思ってしまう。それ位、出合えないもの。だから貴方の「きらめき」とは何ですか? というのがピクサーなのでしょう。意外と『ロード』(日本の歌のアノ)ぽいなーと。でも、この年になると、何でもないような事が一番だってことも知っている。
原題は『ソウル』。魂。自分のサイト名を「Soul」とつけた位、この単語には思い入れがある。今ではR&Bと言われているけれど、私個人は今でもソウル・ミュージックと呼びたい。俳優・歌手ハリー・ベラフォンテは、「民族の文化は民族の魂であると信じている」と言っていた。過去の『ベベズ・キッズ』や『ブラックパンサー』には、文化を感じたがゆえに、真似できない強烈なソウルを感じた。とても素晴らしい物語だけれど、そういった意味でのソウルだけが欠けていた。ジェームス・ブラウンの曲を聴いた後にグッとお腹の中が熱くなる感じのあのソウルではなく、普通に超感動する感じだ。
(4.5点/1789本目)
Soul / ソウルフル・ワールド (2020)