SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて

The Clark Sisters: First Ladies of Gospel / 日本未公開 (2020) 1751本目

ゴスペルの深さを堪能せよ!『The Clark Sisters: First Ladies of Gospel』

南部に来て一番驚いたこと。それは教会の多さ(いつも書いているが人口より多い気がする)と、私よりもゴリゴリにラップを聞いてそうな若者でも車内でゴスペルを聞いているということ。これはビックリした。意外性。そして、日本で親しまれているゴスペルとも、また違う。音楽ではあるのだけど、それ以上にキリストのためにという感情が凄く強い。全てはキリストのため。そんなゴスペルを歌う5姉妹「ザ・クラーク・シスターズ」というゴスペルのファーストレディたちを描いた作品。なんと、クイーン・ラティファメアリー・J・ブライジミッシー・エリオットというヒップホップ3大ファーストレディたちが制作総指揮を担当!ライフタイム・チャンネル制作で放送したテレビ映画。

1960年代のデトロイトの早朝。いきなり母(アンジャンヌ・エリス)に起こされ、歌うように強要された5人のまだ幼いザ・クラーク・シスターズ。5人も70年代には大人になって、父が主教を務め、母がクワイアを指導する教会で歌っていた。オルガンが弾けるトゥインキー(クリスティーナ・ベル)は、母に付いて指導のために全米を回るために学校を中退していた。長女のジャッキー(アンジェラ・バーシェット)は看護師をしながら歌い、デニース(レイヴン・グッドウィン)は夜遊びに夢中で、ドリンダ(シーリー・フレイジャー)はスレンダーで男性にモテており、末っ子のカレン(キーラ・シアード)は一番歌が上手いが恥ずかしがり屋でソロが出来ずにいた。昔から有名だった母の指導もあり才能を開花させていく5人だったが、父がレコーディングを嫌がっていた...

ライフタイム・チャンネルはとてもチープだ。テレビ映画でも、HBOとかショータイムとかESPNならお金をつぎ込むので良い作品が多い。でもライフタイムは違う。毎回チープだ。大抵は役者も「誰?」と知らない人ばかり。しかもチープなラブロマンス映画を作っている印象しかない。私を心底怒らせたアリーヤの自伝映画『Aaliyah: The Princess of R&B / 日本未公開 (2014)』もライフタイム制作&放送。そしてクイーン・ラティファの制作会社フレイヴァー・ユニットが制作。正直に書くと、ここ制作の作品も『Bessie / BESSIE/ブルースの女王 (2014)』以外はあんまり好きじゃない。だからいくらラティファやメアリー・Jやミッシーが関わっていたとしても...と期待は全ーくしておりませんでしたよ。でも見たのは、アンジャンヌ・エリスが出ていたから。私が本当に好きな女優の一人。過小評価され過ぎているといつも思う。そしてこのアンジャンヌ・エリスがやっぱり凄く最高でした。厳しいけれど、根本的には娘たちを愛し、そしてゴスペルというものに身を捧げている姿が素敵でした。エリス特有のカッコ良さと強さと貫禄が最大限にマティ・モス・クラークという役に出ていた。完璧な人に見えるけど、やっぱり弱いところもあったりで、そういう所を見せるのがエリスは抜群に上手い。完璧な人に見えるからこそ、そういう部分を見せられるとこっちも弱い。今回は強すぎで笑ってしまうことがあるのも良い。いつかこのエリスの凄さが認められて欲しい。そして、5人の姉妹も良かった。ドリンダ以外は姉妹ゆえに(ドリンダも姉妹ですが)みんな似たようなルックス&体系なので、4人ともにジル・スコットに見えて、見分けが難しかった。よくも似た人たちを集めてきたなと感心したくらい。でも慣れてくると、似ているのはトゥインキーとデニースくらいだと分かってきて、そこから個々の個性も描かれるので面白くなる。作り的には、成功からの転落を描いていて、オーソドックスな音楽自伝映画ではありますが、女優たちの才能によって面白くて飽きない展開になっている。しかも歌パートは女優たちが歌ったとのことで、その歌がまあ圧巻!本当によくこの5人を探してきたものだと思いました。でもまあそのせいで、一番上手い筈のママが一番アレでしたけど。歌はアレだけど、演技は上手いですから!

制作総指揮を担当したクイーン・ラティファメアリー・J・ブライジミッシー・エリオットというヒップホップの3大ファーストレディたちも、このザ・クラーク・シスターズというゴスペルのファーストレディたちに憧れ、そして影響されたに違いない。ゴスペルの奥深さと、その凄さを知る。

www.blackmovie-jp.com