死後も叫び続ける『ルムンバの叫び』
これ前々から何度も見ようとDVDを借りるんだけど、どういう訳かいつも不良品。観れない。場所を変えて借りてもダメ。どうして?っていう作品が私にはもう一つある。トム・クルーズの『アウトロー』。諦めている。相性が合わないのかな?という事で、こちらは3度目の正直。やっと見れた。映画は相性合わないどころか、私好みの作品だった!ハイチ出身の監督ラウル・ペック作品。コンゴ共和国初代首相パトリス・ルムンバの物語。
1885年のベルリン会議で、ヨーロッパによりアフリカは分裂される事になった。コンゴはベルギーのものとなった。そして1950年代後半からアフリカで独立を進ませる運動が活発。そんな中、パトリス・ルムンバ(エリック・エブアニー)が1960年6月30日にコンゴ共和国の初代首相に就任する。しかしたった2か月間だけの大統領だった。ルムンバは回想していく。30歳の頃、政府機関の郵便局のトレーニングを受け合格し、仕事をしていた。ビール売りの仕事もした事があり、その時にコンゴ共和国初代大統領となるジョゼフ・カザヴブ(マカ・コット)に出会い、政治の世界に足を踏み込んでいく。類まれな雄弁で、人々を魅了するも、政府に反旗を翻し逮捕され、暴行を受け...
やっぱり人を、世界を変える人は話が上手い!キング牧師もオバマ前大統領もそう。ルムンバの話は人をとても惹きつける。そういうルムンバを引き出した演出が良かった。あまり話が上手い人だと胡散臭く感じてしまう事もあるが、世界のリーダーたちはそんな感じは一切見せない。きっと話が上手いだけでなく、そのさらに一つ上に人間としての魅力があるからなんだと思う。色々な迫害や苦悩にも耐え、そして凛として反抗する様は実にカッコいい。川のカヌーのシーンとか最高にカッコいい。ラウル・ペックはそれだけでなく、白人社会(ベルギーとロシア)が裏で糸をひく感じをひしひしと感じさせてくれた。カタンガの空港のシーンはドキドキさせられた。
コンゴ共和国とコンゴ民主共和国。引き離されたコンゴの歴史は、私が大好きなNBAチームOKCサンダーに所属していた居たサージ・イバカ選手のお陰で少しだけ勉強した。イバカは『Son of the Congo / 日本未公開 (2015)』なんていう映画も作ったから。しかし、ルムンバのように「ユナイト(団結)」を言う者が暗殺されてしまうのが悲しい。
冒頭と最後に出てくる豪華なんだけど、どこか陳腐で下品で俗臭ふんぷんなパーティ。そこでモブツ大統領がルムンバを称える言葉を言うけれど、それを冷めた目ながらも鋭くモブツを見つめる2人の男女の目がとても印象的。ルムンバの叫びは死をもっても黙らせる事は出来ない。
Lumumba / ルムンバの叫び (2000)(4.75点:1634本目)