えんだああああぁああやっぱ好きやねん『Whitney: Can I Be Me』
ここ数年はグラミー賞の時期になる度に、ホイットニー・ヒューストンを思い出す。2012年のグラミー賞の前日に急逝した。享年48歳。このドキュメンタリーはデビュー作から飛ぶ鳥を落とす勢いだったホイットニーの人生が傾きかけていた1999年のツアーからホイットニーを振り返る。監督は『Biggie and Tupac / ビギー&トゥパック (2002)』のイギリス人監督ニコラス・ブルームフィールド。トライベッカ映画祭で上映されたが、ホイットニーの遺族が上映中止を求めていた。
1999年ヨーロッパをツアー中のホイットニー。夫のボビー・ブラウンも一緒だった。ツアーに参加していたバンドのメンバーなどが当時を振り返り、そしてホイットニー誕生も語られ、母でゴスペルシンガーのシシー・ヒューストンについても語られる。ホイットニーは厳しい母よりも父からの愛をより強く感じていた。そして兄とゲイリーとマイケルからは、デビュー前の割と早い時期からドラッグを一緒にやっていた事などが明らかになっている。そして、ホイットニーの親友ロビンとの仲についても、ボビー・ブラウンとの関係と同じ位の量で語りつくされている。
ホイットニーと言えば、上手く白人オーディエンスにクロスオーバーした80年代を象徴するような女性ボーカリストだ。そのホイットニーの戦略を立てたアリスタ(ホイットニー所属レーベル)のトニー・アンダーソンが面白い話をしていた。「過去を全て置いて、それにフォーカスしなかった。この国はとても人種的で人種差別的だけれど」と話している。それが見事に功を奏し、ホイットニーは大成功を収めた。ホイットニーがフランスのTVに出演した映像が酷かった。怒ってもいいような状況だったけれど、若いホイットニーはグッと堪えて「ありがとう...(´・ω・`)」と言うのみ。有名人も大変だなーと改めて感じた。ちなみにタイトルはホイットニーの好きな言葉「私でいさせて」。アナ雪的な「ありのままで」。あのホイットニーの「ありがとう」が、タイトルとリンクして切なくなった。
この映画で一番テンション上がったのが、ホイットニーとボビーが2人でティナ・ターナーとアイク・ターナーの真似コントをしているプライベート映像!色々とシュールというか、斜め過ぎるというか、何というか... 本人たちは凄く楽しそうで仲は良かったのは良く分かった。あと『Set It Off / SET IT OFF (1996)』を見るときにテンションマックスになるホイットニーにキュンとした。
そしてボビーvsロビン。結局は2人ともホイットニーの元から去ってしまう。こんなことなら先にボビーが去って、ロビンが残れば、今までもホイットニーの新曲やら新しい映画が観れたのかなーと思ってしまった。遺族がこの映画の中止を求めたのは、多分ロビンとの事があるからだと思う。母シシーがロビンとの仲を良く思っていなかった。シシーには、同性愛を理解出来なかった。
『ビギー&トゥパック』では、イギリスからやってきてビギーとトゥパックの死の真相にかなり迫ったニック・ブルームフィールド監督だけど、この映画でもやっぱりその捜査力は半端ないと思った。そしてプライベート映像も多く、映画的なつくりが、エイミー・ワインハウスの『AMY エイミー』に割と似ている。
丁度これ観た直後にインスタ見ていたら、ボビー・ブラウンが現妻といちゃついている写真をアップしていて、ちょっとイラっとした。以前は全然なんとも思わなかったのに。ホイットニーはボビーを愛していたと、この映画でよりそう感じた。
Whitney: Can I Be Me / 日本未公開 (2017)(4点:1583本目)