"30 for 30" June 17, 1994 / 日本未公開 (2010) 914本目
いやー、面白いですねー。ESPNはやっぱりスポーツに関しては凄い。と、ESPNの「30 for 30」シリーズです。まあ何本かイマイチなのもありましたが、大体が合格点ですね。今回はなんと1994年の6月17日に絞って描かれたドキュメンタリーです。その1994年6月17日は、スポーツ界にとってとんでもない日になってしまったのです。朝方はNHLでやっと優勝を果たしたニューヨーク・レンジャーズのニューヨークでのパレード。しかもチームは1940年以来優勝していなかったから、ニューヨークの町は歓喜に包まれる。しかもニューヨークは、NBAのファイナルも行われていて、ニューヨーク・ニックスがヒューストン・ロケッツ相手に久々のファイナル進出。マイケル・ジョーダンが居ない中、優勝するのはニックスとの下馬評が高かった中で激戦を繰り広げていた。こちらも優勝すれば1973年以来と期待されていた。
そこに突然飛び込んでくるのが、OJ・シンプソンが逮捕になるというニュース。同じ年の6月13日にシンプソンの元妻と友人が殺された。その犯人としてOJ・シンプソンが逮捕されるのだと言う。その時のニュースではOJ・シンプソンが警察に自首するだろうと伝えていた。
そしてお昼すぎにアメリカで初のサッカーのワールドカップがシカゴで開幕。華やかな開幕式がTV中継され、シカゴを本拠地にしているオプラ・ウィンフリーや当時の大統領であるクリントンが開幕式に参加している。しかしOJ・シンプソンが自首する筈だったLA市警になぜか爆弾騒ぎが起き、11時頃自首する筈だったOJ・シンプソンは11:55になっても現れない。そこでOJ・シンプソンは「逃亡者」として、ヘリコプター等を駆使した捜査が始まったのだった。
そんな中、テレビ時代を支えた「キング」アーノルド・パーマーが、最後の全米オープンに参加していた。彼は静かにラストを迎え、涙目になっていた。そして東海岸が夜になった頃、NBAファイナルのゲームが始まり、放映中だった。しかし、OJ・シンプソンの弁護士と友人がOJから届いたという自殺をほめのかす手紙をマスコミに発表。その友人ロバート・カーダシアン(娘があのキム・カーダシアン)はその手紙を読み上げる。そして、野球では、ケン・グリフィ・ジュニアがホームランで新記録を達成しようとしていた。そんな中、NBAファイナルの中継をしていた有名なスポーツキャスターであるボブ・コスタスは混乱している。イライラしながら、OJのニュースを伝えるのか、それともNBAファイナルを伝えるのか... スポーツ中継の人々はきりきり舞いだ。
そしてOJはあの有名なハイウェイの逃亡劇を繰り広げる事になる...
完全にあの日が再現されています。しかしこのOJに呪われたのか、ニューヨーク・レンジャーズも1994年以来優勝なし。ニックスも1994年には優勝できずに、未だに優勝出来ていない。ケン・グリフィ・ジュニアのメジャー・リーグは結局その後8月からストライキに入ってしまって、シーズン終了。ワールドカップもアメリカでサッカーの人気が出るだろうと言われたが、結局そんなに盛り上がらなかった。OJのその後は言わずもがな。
中々センチメンタルに作っていて、なんで人々がOJに夢中になったのかが、分かります。でも音楽がちょっとうるさいかな?スポーツ好きにもゴシップ好きにもたまらない作品であります。OJはシェイクスピアの悲劇の主人公。
(4.5点/5点満点中:DVDにて鑑賞)