Derek / 日本未公開 (2008) 1184本目
デレク・ジャーマンにティルダ・スウィントン... わしゃ関係ないがな!って思うよね。そうだよね。でもこれ監督がアイザック・ジュリアン。「Young Soul Rebels / ヤング・ソウル・レベルズ (1991)」等で知られるイギリス出身の監督。そしてLGBT活動家。と、デレク・ジャーマンとの共通点もあるって訳です。
デレク・ジャーマンの半生を彼の作品でデビューしたティルダ・スウィントンとアイザック・ジュリアンが追っていく。スウィントンは自ら選んだ言葉でジャーマンを語っていき、ジュリアンは独特のタッチでジャーマンの映像を拾っていく。ジャーマンの生前のインタビューもあって、何か食べながらもぐもぐと話すのが面白い。割とカジュアルなんだけど、やっぱりそこはイギリス映画。暗い!w でもアンダーグラウンドな感じがよーーーく出てます。LGBTの世界、そしてパンクの世界、暴力的な世界、ジャーマンの生き様が分かります。
前々から書いているようにLGBTについて撮らせるなら、イギリスの方が数段上。閉鎖的で屈折している描写が素晴らしく、私の感性をくすぐる。80年代はここから出てきたスターも多い。ダニエル・デイ=ルイスにルパート・エヴェレットにコリン・ファースにヒュー・グラント...錚々たる俳優の名前。これが一人前に出来てこその名優。彼らが出ていた80年代の作品はソフトに彼等の感情が美しく描かれておりましたが、ジャーマンはその前の70年代により前衛的に描いた作品が多かった。実験的で生々しく感情や色々な物がむき出し状態。一般人にしてみたら、全然違う別世界を感じてしまうような作品。感じたのは、イギリスのそういう世界の人たちが彼を欲していたんだろうねという事。時代が彼を生み出した。
そしてやはりイギリス独特の反骨精神を感じる。アメリカとか日本とは違う反骨精神。それがアートになってしまう土壌がイギリスにはある。だから違うんだよね。
(4.25点/5点満点中:DVDにて鑑賞)