アメリカ南部のとある都市。人口よりも、多分教会の方が多いバイブルベルトの一角に私は居る(もちろんここの部分だけ話は盛った)。私の義理の家族の一人はまだ20代なのに、車のステレオからは、今流行りのA$AP Rockyでもなければ、2チェインズでもない、優しいゴスペルの曲がかすかに聞こえてくる。そんな彼女は私に「教会行ってる?」と聞いてくる。「あ、いや、夫がずっと行ってないから...」と上手くごまかす。でも彼女がちょっとだけ引いたのを感じる。彼女には仏教徒というものが存在していないようだった。アジア人だろうが、なんだろうが、南部ではキリストが全て。
そして別の日。10歳の義理の姪が慣れた感じで早口で夫に聞いている。「教会行ってるんでしょ?うちの教会で見かけないけど」。「あ、いや、あの...」。さすがに10歳の女の子からそんな質問を受けるとは思わず、夫ですら口ごもる。
帰り道、大好きな2チェインズとA$APの「F**kin Problems」が私たちの車のカーステレオから流れて私は音量上げる。そんな自分に少し罪悪感... いや、ここまでキリスト教推しされると、自分のキリスト教でもなければ、ちゃんとした仏教徒でもない、無宗教な的な自分を逆に偉いなと思っちゃったりもするのでした。