ずっと読んでいただいている方には何となくご想像がつくかもしれませんが、PBSが放送しDVD化された舞台の映像を見るという小さなマイブームがやってきております。そういえばタイラー・ペリーで映画化された「For Colored Girls Who Have Considered Suicide/When the Rainbow Is Enuf / 日本未公開 (1982)」も同じシリーズでしたね。理屈無しに面白い。とにかく面白い。物語が面白すぎるし、演技が凄すぎる。このシリーズの凄さはオリジナルキャストで映像として残されている所でしょうかねー。
この劇では、有名な黒人演出家のロイド・リチャーズが監督を担当。劇作は「The Sty of the Blind Pig / 日本未公開 (1974)」のフィリップ・ヘイズ・ディーン。こちらの作品はニグロ・アンサンブル劇団ではありません。しかし「The Sty of the Blind Pig / 日本未公開 (1974)」では盲目ジョーダンを演じていたリチャード・ワード、そして「愛と青春の旅立ち」にてアカデミー賞助演男優賞を受賞したルー・ゴセット・ジュニアが出演してます。主役を演じたのが最近では「Blood and Bone / ブラッド&ボーン 真拳闘魂 (2009)」にも出ていたディック・アンソニー・ウィリアムス。この3人の男達が良い。リチャード・ワードが家長で父を演じていて、ルー・ゴセット・ジュニアがその家でお世話になって今は医者として成功した男を演じている。主役のディック・アンソニー・ウィリアムスはタイトルにもなっているフリーマン役で、彼は家の長男。お父さんが優しい。でもなあなあ主義。選挙で納得いかない形で負けた息子に対して「誰かが負けなきゃならねぇ」と諦めさせる。ルー・ゴセットが演じた役も非常に難しい。一見では嫌な男。でも家族というものに嫉妬しながら生きてきたのも分かるんですね。フリーマンは名前通りに自由な男。でも大人になりきれていない部分があったりする。お父さんに甘やかされた部分もある。でもそういう甘えが彼を本当の意味での「フリーマン」にはしていなかったのです。もう最後は悲しすぎる位の現実が待ってます。心打ち砕かれましたね。リチャード・ワードの優しいお父さんが涙を誘う訳ですよ。ロイド・リチャーズの演出が上手いですね。
ちなみに今回親子を演じたリチャード・ワードとディック・アンソニー・ウィリアムスは、スティーブ・マーティンが主役の「The Jerk」という作品で2人はまた親子でスティーブ・マーティンの家族を演じてます。ふふふ。家族よ。
ちなみにIMDBのクレジットにはなぜか脚本にコメディアンのポール・ムーニーがクレジットされている。映像のオープニングクレジットもエンディングクレジットにも彼の名前は確認されなかった。ポール・ムーニーの自伝も読み返してみたけれど、見つからない。たんなる間違いだと思われます。
(5点満点:DVDにて鑑賞)