南部のアラバマにある極刑の囚人ばかりが居る刑務所のドキュメンタリー作品。殺人等で極刑となった囚人達が集まると、それはそれは刑務所内もかなり危険。いくらセキュリティを厳しくしても、喧嘩や暴力は耐えない。暴力だけでなく殺人も日常茶飯事。殺伐としている。厳しくするだけではダメだと気づいた看守達は、色々な刑務所を視察。そこでインドの刑務所では、仏教の教えであるヴィパッサーナを取り入れた事により、刑務所内での争いごとや暴力が著しく減ったとの事。だったら取り入れてみよう!と、その南部の刑務所は試してみる。囚人の20人程がそのプログラムに参加。プログラムは10日間続く。外から2人の指導者が来て、彼らは体育館みたいな場所で生活を共にする。しかし必要ない会話は許されない。とにかく瞑想を繰り返すのです。彼らの中には殺人者も居れば、ギャングも居る。終身刑となっていて、これからの長い余生を刑務所で生活する事になるものも少なくない。なんとそのプログラムを終了した者達は、インドの刑務所と同じく変化を見せる。
しかし、南部である... しかも深南部と言われる南部である。そこは別名バイブルベルトとも言われているキリスト教が絶対的な力を持っている地域での事なのです。囚人側にとってもそう。キリストが絶対だった。「宗教を押し付けている」という理由で、このプログラムは一回で終了させられてしまった。表向きの理由は宗教の押し付けだったが、裏では彼らがみな仏教にのめり込んでいくのが恐ろしかったという理由もある。
そして弊害はあったが、その後も進んで瞑想を続ける者達が多かった。時を経て、既に刑務所を移動している者も居て、新しい刑務所ではヴィパッサーナを理解されずに苦しんだが、何とか瞑想を続けて耐える事が出来たと話していた。彼らは自分達をダンマ・ブラザーズと呼び、お互いを励ましあっている。そしてプログラムは終わったが、彼らは自然と集まって瞑想するようになったとの事。
刑務所で良い方に変わっていくのはいい事だと本当に思う。しかし彼らが罪を後悔し反省しての変化とも思えなかったし、自分の罪への言い訳が多かったのが残念。こういうドキュメンタリーの評価は本当に難しいのだけど、ヴィパッサーナの素晴らしさだけを押し出していた感が強く、プロパガンダ的な部分が見えたので、少し引いてしまうのは確か。
(3.5点/5点満点中:DVDにて鑑賞)