これは小粒ながら中々の作品ですぞ。大好きなGlynn Turman (グリン・ターマン)が出ているので見たのですが、想像よりも面白かった!1930年代の世界恐慌時代を舞台に繰り広げられる人情ドラマ。涙あり、笑いありです。世界恐慌で人々は仕事もなく食べる物も中々無かった時代に、人々を支えたのが週一回行われる男性のファッションショー。3位までに入るとお金がもらえたり、食料がもらえたりする。一番は「キング」の称号を手に入れて女性にモテる。食料を買えない程なのにファッションって!って思うかもしれないけど、心がギスギスしているからこそみんな試行錯誤してファッションを楽しんで「キング」になるのです。オープニングでは、実際にあった事からインスパイアーされて出来たと出てきますが、舞台はアメリカになってますが実際にはそのファッションショーは南アフリカであった事らしいです。でも見事にアメリカの昔話に盛り込まれているんですよー。監督は白人のアンドリュー・P・ジョーンズという人で、脚本はその世界恐慌を経験した父との共同執筆。父の経験が盛り込まれておりました。そこに黒人としての経験を盛り込んだのが、俳優のレジナルド・T・ドーシーとの事。彼は映画の中でベニーという男を演じております。主役はモデルのタイソン・ベックフォード。モデルとしては素敵だと思うけれど、俳優としてはそんなに魅力ないと思ったんですが、この映画では見事に上手くはまってる。リン・ホイットフィールドもグリン・ターマンの2人のベテランは、これぞ名人芸!って感じです。なんでもグリン・ターマンは普段とっても静かとの事。その中で唯一名前の知られてないのが、若い女性を演じたリナラ・ワシントン。彼女もいい!IMDBでチェックしてみたら、どうやらブラジル人とのミックスらしく、ポルトガル語も話せるらしい。そして日本にも興味があって日本語にチャレンジして日本の映画に出たいんだって。そんな事思ってるなんて嬉しいじゃん、日本人としたら。誰か使ってあげてほしいねー。そして俳優として知られるArt Evans (アート・エヴァンス)が、劇中で使われる曲でハーモニカを吹いてるんですって。アート・エヴァンスなんか好きなんだよね。私。名バイプレイヤー。
今の社会は格差社会なんて言われているけど、この世界恐慌時代の時にも格差社会であって、持つ者と持てない者の力の差が激しい。これを見てたら、世界はまたこの時代に突き進んでいるのかなーなんて、ちょっとゾッとしてみたりして。やっぱり人は歴史から学んでないのかなーとも思ってみたり。でもこの映画でもそうだったけど、確実に世界や状況を変えていくのは、感情豊かな思いやりのある若者なんですよね。政治家世代の頑固ジジイ達じゃない。若い子達には感情が豊かになるようないい芸術を見て欲しいと切に思いましたです。私の年代はもう中途半端なのよね、残念ながら。でも私の下の世代、ゆとり教育だからね。これまた。
日本には失われた...そしてアメリカにはとっくのとうに絶滅していたと思われた「人情」が観客を熱くするドラマでした。
(4.25点/5点満点中:DVDにて鑑賞)