所謂ブラックムービーかと言えば違うのですが、まぁブラックムービーの悲しい歴史です。ブラックフェイス...白人の役者が顔を黒く塗って黒人を演じるというものです(30代以上ならシャネルズを思い出してください)。感想では黒人が黒人すら演じさせて貰えなかった時代と書いてしまったんですが、この時代にはもうオスカー・ミショーという黒人監督も誕生しています。その前にはウィリアム・フォスターというプロデューサーまで居たし。でも今で言うインディペンデンス映画であって、自主製作の時代。メジャーじゃないんですよね。ちなみにこの映画はRadio Picturesという後にRKOとなるメジャー会社です。タイトルロゴがモールス信号で、映画ではキングコングで有名でしたよね。当時でも黒人が黒人を演じても居るのですが「Uncle Tom's Cabin / 日本未公開 (1927)」という映画のアンクル・トム役です。今では差別語ともなっているアンクル・トムですし。真の黒人の姿を黒人が演じられなかった時代というのが正確かもしれませんが、何をもって真にするのかは難しい所でもあります。でもわざと黒人の姿がバカにされていたというのは、この映画に関して言えば間違いないです。
エイモス&アンディと言えば、黒人の歴史やエンターテイメントの歴史やブラックカルチャー(という言い方も私はあんまり好きじゃないのですが...)をかじった人なら聞いた事あるフレーズだと思います。ラジオで放送され大人気となったブラックフェイスの番組です。ラジオなので顔は出ませんが、白人の役者達が正しい英語を話せない黒人を面白おかしく演じているドタバタ劇です。ドタバタも彼等が無知で鈍いから起こる事件とかそんな感じです。その映画化。この映画では白人の女性を巡る三角関係というメロドラマも同時進行しています。ラジオはさすがに聞いた事ありませんが、テレビでは50年代に黒人俳優がエイモスとアンディを演じています。がしかし、NAACPの猛討議に遭ってテレビもすぐに消滅。ビデオとかも出せなかったと聞いてますが、最近はDVDになってますね。
ラジオから映画、そしてTVシリーズにもなった人気の作品ですが、その訳が分からなかった。全然面白くない。笑いは難しいけれど、やっぱり本人体験じゃないと笑えないとつくづく思いました。黒人のコメディアンでも自虐が恐ろしい程の人とかもいますが、そうやって自分で話している&演じているという事は、本人はそこから開放されているから観客は安心して笑えるんじゃないかと思う。リチャード・プライヤーの火事ネタもそう。だけど他人がそれをやると何か嫌味で悪口を聞いているような感覚になってしまうものです。特に黒人と白人の場合は差別の力関係がハッキリしているので余計に笑う事なんて出来ません。私は白人でもないし、黒人でもないし。
唯一の見所が、デューク・エリントンの演奏シーンですかね。個人のパーティにデューク・エリントンとオーケストラが登場ですよ。今で言うセレブですわよね。羨ましすぎます。その演奏シーンでも三角関係に絡んでくるシーンがあって、女性や男性の姿も映されるんですが、そんなカット要らない!と叫びたくなります。
普通の映画としても特に面白い訳でもありません。横の写真もブラックフェイスは載せたくないので、ラジオ時代の写真にしました。じゃあ、何で見たのか?確認です。見ないと何もいえませんから。
感想はこちら。
(2.75点/5点満点中:DVDにて鑑賞)