とりあえずこちらを先に。見てきましたよ。しかし公開1週目の興行成績は9位とかなり低い... それには大きな理由があります。上映関数が非常ーーーに少ないんです。今週10位以内に入っている映画の殆どが3500-2000館での公開。1位の「Four Christmases」は、約3300館、上映5週目に入った10位の「Role Models」ですら、約1900館。この「Cadillac Records」はなんとたったの686館。全米で...ですよ。見たくても見られない地域もあるかもしれないですね。私が見た時もかなり混んでました。
「Ray / レイ (2004)」の成功以来、この手の音楽ドラマが増えてます。この作品は中々の合格点ではないでしょうか??でも省いている部分が多のも否めません。なので、チェス・レコードに相当の思い入れのあって史実に忠実でなければならないというウルさ型の人々にはあまりおススメ出来ない作品ではあります。まあでも相当好きな方には、なんでレナードだけエイドリアン・ブロディというキャスティングが発表されているの?という疑問で、既に作品の感じが掴めてらっしゃると思います。
それを埋めるのが、キャスティングでしたね。期待通りにイーモン・ウォーカーのハウリン・ウルフとモス・デフのチャック・ベリーが素晴らしかったです。いや、2人は期待以上でしたね。イーモン・ウォーカーは自分の声質を変えて、ハウリン・ウルフになりきってましたよ。背格好といいビックリ。彼の場合、本人そっくりに真似るというだけでなく、甦らせた感じ。性格までも甦った感じで、映画に物凄く緊張感を与えてました。彼の甦らせ方はドラマになってるんですよ。やっぱりあの声質と背格好が無かったから、ハウリン・ウルフという役は演じられないですから。モス・デフはその逆。緊張を和らげるいいスパイスになってました。2人が緊張と緩和で本当にいいバランスでした。
期待以上だったのが、コロンバス・ショートのリトル・ウォーター。正直、ブリトニー・スピアーズとのスキャンダルから、この人はそれだけの人なんだろうなーってずっと思ってました。「Stomp the Yard / ストンプ・ザ・ヤード (2007)」は中々見れる映画でしたが、それは彼の演技力というよりストーリーに助けられた感じがしたので、彼自身の才能を買う事はまず無かった。しかし、この映画でのコロンバス・ショートは本当に素晴らしいです。ビックリすると思いますよ。ショート自身はインタビューの中で、リトル・ウォーターの映像は見た事ないと語ってます。歌とちょっとしたバイオグラフィーだけで役を作ったそう。
で、ビヨンセ。今回はいいと思いましたよ。正直、演技は上手ではないと思う。でも今回だけは根性見せた感じ。滅茶苦茶褒める事もないんですけど、映画を台無しにした!という事は全然ないです。レストランのシーンはさすがに泣けた。
主役はレナード・チェスを演じたエイドリアン・ブロディと、マディ・ウォーターズを演じたジェフリー・ライト。ジェフリー・ライトは非常に楽しみにしていたんですが、マディ・ウォーターズから感じられる南部の人独特の土臭さみたいを感じる事は出来ませんでした。でもマディが音楽を作るというだけの作業だけじゃなく、チェスの為にあんなに働いていたのは興味深い。
ちなみにこの映画での曲は俳優自らが歌っています。その辺は「レイ」と違いますね。俳優達が歌うのは上手いというより、役に味を持たせてましたね。
確かに史実とは違う部分も多々ある(冒頭には真実に基づいた物語と出てきますが)。でも史実通りに作るだけが映画じゃないかな?とも思う。どのようにチェス・レコードを掻い摘んで魅力的にして、人々を魅了していくか... 歴史を語るフィルムとしては不十分ですが、映画として十分な魅力を持ってます。私が見た時には、最後パラパラと拍手がおこりました。
でもコメディアンのジャッキー・マムス・マーブリーやスラッピー・ホワイト、ピグミート・マークハムとかもチェスでレコーディングしていたらしいので、そのいきさつとか様子とか興味あるので見てみたかったかも。後、チェス・レコードを扱った作品では「Who Do You Love? / 日本未公開 (2009)」という作品があります。今の所全国公開とかないインディペンデンス映画です。そちらの方は豪華キャスティングという作品ではありませんが、史実には近い感じがします。
映画見てからこの曲ばかり口ずさんでます。
感想はこちら。
(4.5点/5点満点中:劇場にて鑑賞)