この前の「Black August / ブラック・オーガスト/獄中からの手紙 (2007)」と同じくブラック・パンサーのブラック・ゲリラ・ファミリーを獄中にて設立したジョージ・ジャクソンとアンジェラ・デイビスの物語です。いちよう映画の中の役名はデイビットとポーラと名前は変わってますが、ジョージ・ジャクソンとアンジェラ・デイビスの物語そのままです。ジョージ・ジャクソンの弟等もちゃんと出てきますし。
「Black August / ブラック・オーガスト/獄中からの手紙 (2007)」よりも正直面白いです。なんで彼がブラック・ゲリラ・ファミリーを設立していったかが、上手くドラマ化されていました。ジョージ・ジャクソン程の男前じゃないけれど、主役のバーニー・ケイシーはカリスマ性があるし、歴史の悲しい部分みたいなシーンも上手く演じています。ジョージ・ジャクソンはプライドに満ちた男だからこそ悲劇みたいな。その辺の描写が非常に丁寧。それで居て、オープニングの写真の使い方とストーリーテラーのようなタジ・マハールのブルースが上手いミックスされていて芸術的だったりする。あの部分に私たちが憧れる70年代の味みたいのが凝縮されていたと思います。デイビットとポーラが恋に落ちていくのも納得なんですよね。こんな感じだったんだろうなーっていう説得力があります。実際はもしかしたら違っていたとしても。「Black August / ブラック・オーガスト/獄中からの手紙 (2007)」みたくインサートでラブシーンを入れたりするよりも、よっぽどこちらの方が伝わるんですよね。
またブラック・ゲリラ・ファミリーの組織の仕方も興味深く伝わってきます。アンダーグランドでバレないようにみんなが動く。またジョージ・ジャクソンを開眼させるのが同じ柵の中に居た男ウォルター。そのウォルターを演じたのが、「Super Fly / スーパーフライ (1972)」のロン・オニール。彼との出来事は、もういかにもみたいな有りがちな感じではあるのですが、最高に良い!だからこそ...みたいなデイビットの心情を描くいい登場人物なんですよね。お互いを刺激し合う仲。チェスのシーンとか台詞とかも物凄くカッコいい。ああいうクールで知的な男達だったんだろうなって、思わせてくれます。
アンジェラ・デイビスを演じたのがヴォネッタ・マッギー。ブラックスプロイテーションの女優としては、パム・グリアの次にお気に入り。いつもチャーミングで可愛い感じなので、正直アンジェラ・デイビスは大丈夫なのかな?と思っていたのですが、中々でした。逆に彼女の可愛い部分がデイビットと恋に落ちていく部分で納得出来るなーと思いました。彼女はアフロが似合うんですよね。
実際にジョージ・ジャクソンという人物が悔いの無い人生を送ったかどうか、私は分かりません。でもこの映画の中でのデイビットという人物は、この映画の中で見事に人生を全うしたようにも見えるんです。だからこそ、映画を見た観客も消化出来ると感じました。
感想はこちら。
(4.75点/5点満点中:ビデオにて鑑賞)