以前にスパイク・リーが監督したジム・ブラウンのドキュメンタリー「Jim Brown All American / 日本未公開 (2002)」にてこの映画についてもかなり語られるので見たくなった次第です。どうして語られたかというと、黒人男性と白人女性のスクリーン上での初のラブシーンがあるからという歴史があるからです。そういう部分、スパイク・リーの好物でしょうし。しかも、ジム・ブラウンの相手を務めたのが、当時人気絶頂で「ネクスト・マリリン・モンロー」と言われたセックスシンボルの女性ラクエル・ウェルチでした。白人と黒人の間でのラブシーンはタブーであり、あったとしてもレイプシーンのような物で、お互いの「感情」が入っていたラブシーン等ありませんでした。同じように黒人と白人のラブシーンのタブーでセンセーショナルな話題を作ろうとした「マンディンゴ」だって、この映画の6年後でもあるに関わらず、設定は奴隷と奴隷主、奴隷と奴隷主の妻という設定でしたから。この映画は随分と先をいっていた作品だと思います。60年代の公民権運動の功名だったのかもしれません。
内容も中々先をいっている感じがしました。メキシコを舞台に、メキシコとアメリカ先住民ヤクイ族の戦いを描いています。そこにアメリカからやってきたジム・ブラウンのキャラクター。彼は黒人であるが故に、正式に保安官になる事は認めておらず、今回のこの仕事を成功させて仕事が出来る事を証明しないといけないという役柄。そして、バート・レイノルズが演じるのがアメリカ人とアメリカ先住民ヤクイとのハーフ。映画の中では、その彼が「このあいの子が!」みたいに言われてしまったりします。このバート・レイノルズが憎い!主役じゃないので、主役のジム・ブラウンを立てるというか... 自分の役回りみたいのがちゃんと分かってるように思えました。ジム・ブラウンの役も自分もアメリカで黒人という立場上、ヤクイのように虐げられているのは許せない、でも自分の仕事を得る為に...という葛藤があります。
でもウエスタンなので、どれか一方が悪く描かれてしまっています。ここではメキシコがその的。実際にメキシコでアメリカ先住民が民族浄化をした歴史はないようだけど、強制労働のような形で虐げられたのは本当にあったらしい。この映画では、ドイツから来た兵士がメキシコの将軍にその民族浄化をアドバイスするんです。何となくヒトラーの影が見え隠れします。
1歩進んで0.5歩さがる。そんな感じの映画だったと思います。でも全然進んでない訳じゃないとも思いましたし。中々ぐいぐいと引き込まれて、ウエスタンが苦手な私でも飽きずに最後まで見れちゃいました。お勧めは、ラクエル・ウェルチが水タンクで濡れるシーン。名シーンですわ。でも、バート・レイノルズとジム・ブラウンのコンビシーンがもっともっとあると、さらに面白かったと思います。デコボココンビというか。
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(4点/5点満点中:DVDにて鑑賞)