Blindspotting / 日本未公開 (2018) 1650本目
ダヴィード・ディグスのオークランド物語『Blindspotting』
ヒップホップを取り入れて話題そして人気となったリン=マニュエル・ミランダの舞台『ハミルトン』に出演し、一躍有名となったダヴィード・ディグス主演・脚本・制作の作品。ディグスは、ブラウン大学では陸上もやっていたが、専攻は演劇で学位を取得。実験的なヒップホップもやりつつ、そのまま演劇の世界に進み、地元サンフランシスコの舞台に立っていた所、リン=マニュエル・ミランダに見い出され、『ハミルトン』に出演。生まれも育ちもカリフォルニア州オークランド。そのオークランドで共に青春を過ごした親友で俳優のラファエル・カサールと共演、そして脚本を共作したのがこの作品。
カリフォルニア州オークランド。コリン(ダヴィード・ディグス)は、あと3日で保護観察が終わる。ハーフウェイ・ハウスに住みながら、引っ越し屋の仕事を真面目にこなし、3日を無事に過ごそうと思っていた。一緒に仕事をしているのが親友のマイルス(ラファエル・カサール)。マイルスは自分が法の世話になっていないこといい事に、衝動的でコリンをトラブルに巻き込ませる。やっと一日が終わる...引っ越しトラックで戻ろうとした時、交差点で止まっていた所、黒人男性が警官に追われ、そして目の前で背中を撃たれて死んだ... あと2日間、コリンの保護観察が終わる予定だが...
ちょっと分かりにくいかな?保護観察中にトラブルになると、また刑務所にすぐ戻される。普通の社会生活の準備期間みたいな感じ。普通に戻れるのか「試される」という意味合いが強い。ハーフウェイ・ハウスも普通の生活に戻る前の準備期間ではあるが、「監視されている」感じが強い。この映画でもそうだったけれど、門限とかある。まあでもこの映画のハーフウェイ・ハウスはまだマシな方。LAでハーフウェイ・ハウス見たけれど、隣に酒屋があったりで日中から死んだ目をした人が路上でボーっとしていたり喧嘩していたりと、色々とカオス。ゾンビの館ぽかった。あまり更生させる気を感じさせない。
そしてこちらはダヴィード・ディグスの生まれ故郷だからという理由ですが、何でしょう、このオークランド舞台映画ブーム!火付け役はもちろん『Fruitvale Station / フルートベール駅で (2013)』や『Black Panther / ブラックパンサー (2018)』のライアン・クーグラー監督。この映画でもマック・ドレとかMistah F.A.B.、さらにはタワー・オブ・パワーなんてオークランド出身アーティストの曲がふんだんに使われている割りには、ライアン・クーグラー作みたいに急にE-40の真似で「hella」とか言いたくなるようなオークランドぽさを感じなかった。町が映画の個性になっていない。何か「使いました!」って感じなんですよね。
物語は、最近の警察官による行き過ぎた暴力、そして判断の悪さを描いた見ごたえある作品。肝心な所はラップになっているのも『ハミルトン』で鍛えられたダヴィード・ディグスという感じ。
Blindspotting / 日本未公開 (2018)(4.25点:1650本目)