"30 for 30" The Best That Never Was / 日本未公開 (2010) 1021本目
偶然観ました。これこそ「30 for 30」って思いましたわ。マーカス・デュプリーというフットボール選手を追うドキュメンタリー。マーカス・デュプリーは、ある一部には誰もが知る名選手。だけど、アメリカ人の多くはその名前を覚えている人は少ない。でもNFLでプレーもしている。まあ、日本人で知る人は殆どいない。私も知らなかったし、歩くフットボール辞典のうちの夫も知らなかったぽい。まあさんまは確実に知らないね。
でも、ミシシッピー州のフィラデルフィアの人達は、彼の名前を覚えている。このミシシッピー州のフィラデルフィアという町は、あの悪名高き公民権運動の活動家が殺された場所でもある。この事件については「Murder in Mississippi / マーダー・イン・ミシシッピ/炎の十字架 (1999) (TV) 」っていう映画になったり、他にもドキュメンタリーとか色々な作品になっている事件。
そこで公民権運動後に、やっと人種融合された高校に通ったのが、マーカス・デュプリー。彼は体格に恵まれて、他の高校生よりも一回りも二回りも大きかった。しかもスピードにも恵まれて、フットボールでは敵無し状態。実際にこのドキュメンタリーでも、彼が高校時代の試合の映像が流れますが、本当に凄い!ジム・ブラウンの全盛期を見ているかのような走りっぷり。あ、ちなみにポジションはジム・ブラウンと同じランニングバック。まあもちろん大学側も早くからデュプリー争奪戦を始める。デュプリーは家族と離れたくない理由で、地元のミシシッピー大学に行きたかったみたいだが、当時の大学フットボールナンバーワンのオクラホマ大学のコーチから熱烈なアプローチを受けて、オクラホマに進む。
でも今度は逆に恵まれていた体系が、足かせとなる。ちょっと太りすぎていたのだった。怪我とかもあり、中々上手く大学に慣れなかったデュプリーに追い討ちをかけたのが、熱烈アプローチをしたコーチ。コーチとの相性が悪かったんでしょうね。デュプリーは大学を辞めてしまい、地元ミシシッピーの短大に入学。しかし勝手に辞めた事で、NCAA側が制裁。NFLに行く道は閉ざされた。でもこの頃にはNFLとは別にUSFLという別のフットボールリーグが存在していた。そこのニュー・オリンズのチームと契約。アメリカではまあまあ有名だったけど、USFLは今は無く、あのようにNFLが第一スポーツとしてアメリカで君臨しているので分かる通り、やっぱりフットボールやるならNFLだよね。
と、まあ切なくなるドキュメンタリー。晴れ舞台で活躍している人達だけが、ナンバーワンじゃない。でも、色んな柵やら苦い思いを断ち切って晴れ舞台で大活躍しているのが、真のスポーツマンでもあり、ナンバーワンの称号を手に入れる事が出来る。だからこそ、せっかくNBAやNFLとかに進んで、バカな事やってキャリアを台無しにする人達を観ると、本当に情けなくなるのです。チャド・ジョンソン(オチョシンコ)、君の事だぞ!!
(4点/5点満点中:8/11/12:TVにて鑑賞)