スパイク・リーが監督したドキュメンタリー。話題となった「When the Levees Broke: A Requiem in Four Acts / 日本未公開 (2006) (TV) 」の続編。2005年にアメリカの南部を襲ったハリケーン・カトリーナ。その5年後にスパイク・リーがフォローアップし主にニューオリンズの今を中心に撮った。そして2009年、ニューオリンズの街は歓喜に包まれる。地元で愛されているニューオリンズ・セインツが初めてリーグチャンピオンとなったのだ。それまで万年負けチームだったセインツ。そのニューオリンズの嬉しい表情からこのドキュメンタリーは始まる。しかし、彼等の笑顔の裏にはとてつもなく沢山の問題が隠されていた。
オープニングには前作にも出ていたフィリス・モンタナ・ルブランの詩の朗読から始まる。彼女の詩からこの映画のタイトルは付けられている。その次からスパイクらしい映像と音楽。いきなり魂を抉られる。そしてセインツファンの嬉しそうな顔。ファンの一人が「これから(ニューオリンズは)生まれ変わるのよ!」と言う。その言葉の裏には沢山の問題が隠されている。その問題をスパイクは4時間で突いていく。カトリーナ以降、ニューオリンズの家賃が急騰した事。昔は380ドルだったのが今では800ドル。倍以上に跳ね上がっている。全てを失った人々はそれでは帰りたくても帰れない。そしてプロジェクト(低所得者向けの公営団地)を次々と閉鎖。そして有名になったFEMAによるトレイラー(移動式住居)。そのトレイラーになんとホルムアルデヒドが含まれていたとの事。そのせいか分からないが、トレイラーに住んでいた人にやたらと心臓病が多く発生し亡くなっている。そしてなぜかFEMAはミシシッピーには義援金を流し、ニューオリンズには渡さなかった。街の75%が壊滅したニューオリンズ、そして23%が破壊したミシシッピー。ミシシッピーは共和党の政治家達が支配していたからだといわれている。と、映画の内容を書くだけでも興味深い事ばかり。4時間あり、2時間づつ2夜に分けて見たとは言え、その長さを感じさせない面白さがあった。とにかく最初から最後までスパイク・リー印。あのスパイク・リーの会社「40 Acres & A Mule Filmworks」のクロージングにもある押し印の映像通り。個人的には前半の政治的な話も面白かったが、後半のニューオリンズ市警の腐敗も興味深かった。2度撃たれたラッパーが居て、一回目は白人で二回目は黒人から撃たれているのも興味深い。
日本も大きな自然災害を受け大きな被害が出たが、ニューオリンズのその後のようにはなって欲しくない。反面教師として参考になる。絶対に東北をこんな風にしてはいけない!
ちなみに俳優アンソニー・マッキーの兄が出ている(前作にも出ている)。彼はニューオリンズの大学で教えているドクターの称号を持つ兄上。しかもルイジアナの回復公共事業団体にも任命された程。顔は似てるような似てないような?でも話し方がそっくり!!ちなみにすきっ歯ではなかった。
(4.75点/5点満点中:DVDにて鑑賞)