Street Wars / 日本未公開 (1992) 758本目
最近ちょっとハマっておりますチョいエロ監督ジャマー・ファナカの作品。ジャマー・ファナカについては散々書いてきましたが、いちようこれが最初という人の為にちょっと。チョいエロ監督なのですが、非常に頭は良くUCLAに在籍。70年代に黒人が映画がやりたいと集まったのがUCLAで、チャールズ・バーネットやハイレ・ゲリマやジュリー・ダッシュを輩出。後で書くけど、本人の自伝によればパム・グリアもUCLAに入りたがっていた。UCLAに出入りしてみんなが映画を撮っているのを観察していたらしい。他のUCLA組が芸術志向に向かう中、ジャマー・ファナカは割りとエンターテイメントを追求(多分本人はそう思ってないかもしれないけど)。出てきたのが70年代という事もあって、割とブラックスプロイテーションに近い作品を作ってた。でももちろん質はいいけどね。何となく90年代に流行ったフッド映画のはしりを20年も前に先走っていた感じかな?そこで、この映画がその90年代のフッド映画が現れ始めた1992年に作ってる。今度は逆にファナカがそっちに寄せちゃった感じ。元々そうなんだから寄せる必要なのに!無理しちゃったから、80年代クサさが残ってしまってる。曲とか映像の感じが「マイアミバイス」ぽい。1990年から1992年に出来た黒人監督によって作られた作品タイトルをエンディングに流してる。UCLAのクラスメイトだったチャールズ・バーネットの「To Sleep with Anger / 日本未公開 (1990)」とかやはりUCLAの仲間ジュリー・ダッシュの「Daughters of the Dust / 自由への旅立ち (1991)」とか更にはジョン・シングルトンの「Boyz N The Hood / ボーイズ’ン・ザ・フッド (1991)」とかヒューズ兄弟の「Menace II Society / メナース II ソサエティー/ポケットいっぱいの涙 (1993)」とかマティ・リッチの「Straight Out of Brooklyn / ストレート・アウト・オブ・ブルックリン (1991)とかがずらっと並ぶ。確かに彼があげた作品はブラックムービーの歴史でも何回も語れている歴史的な作品。し・か・し...この映画だけはそのリストには混ざってませんから!
何だろうなー。最初に書いた通り、とっても80年代チック。悪い訳じゃない。歴史には残らないけど、ジャマー・ファナカぽい魅力ある作品だと思う。ミスターTみたいなマッチョ系のヒューマンガスとかオネエ系ギャングスタのクリスティなんていう濃い2人のキャラは最高だった。主役も可愛い子ちゃんで、クリス・ブラウンそっくり。しかもブルーアイ。
下の写真は左から主役のシュガーポップ、真ん中がヒューマンガス、右がクリスティ。
凄いでしょ??濃いでしょ??ファナカの映画はこうやってキャラクターが濃いから面白い。主役のクリス・ブラウンそっくりさんは、軍の学校をトップで卒業。その後に陸軍の士官学校への入学が決まっていた。その間に故郷のロサンジェルスのサウスセントラルに戻ってくるのです。そこでは兄がドラック売買などをして街のトップとして君臨。大きな組織も操作していた。しかし兄が殺されてしまって... と、普通に聞こえるでしょ?これが凄いですよ。ドライブ・バイ・シューティングはこの当時に作られたフッド映画では何度も見た光景だけど、この映画はなんとウルトラライト飛行機でドライブ・バイ・シューティング!!笑うしかないでしょ?しかも兄の葬式はなぜか武富士のCMみたいなダンスでお別れ。途中で監督のファナカがラップしてるし...(汗)。兄は明るい葬式がしたいと言っていた設定なんだけど、だけど!!明るすぎ。でも主役が軍の学校で訓練していた設定なので、銃とかに慣れている設定は上手かった。その主役が兄とは違った形で街のトップに君臨してくのは、ファナカらしい前向きなメッセージ。でもフッド映画にしてはリアリティに欠けている。いやかけ離れてるかなー。ファナカのファンタジーが炸裂し過ぎた感じですね。
ところで「Next Friday / ネクスト friday (2000)」のアイス・キューブのエロいおば役だったキム・ホイットリーが近所でテレビインタビューされるチョイ役で出てた。IMDBでもクレジットされてない。
そしてファナカはトゥワイラという女性の名前が相当好きなんでしょうね。主役の恋人がトゥワイラ。「Welcome Home Brother Charles / 日本未公開 (1975)」に続いて2度目。自分の娘にまで付けてる名前だからね。
(3.25点/5点点満点中:DVDにて鑑賞)