今じゃ皮肉を込めてミスター・キャリー...つまり普通ならミスター・キャノンだけど嫁のマライア・キャリーの方が知名度が高いという事で...なんて言われてしまっているニック・キャノンが主役のイラク戦争へ向かう青年の物語。その嫁のマライア・キャリーを夜な夜な有名なカツヤとか牛角にディナーに連れて行って、毎回のように自分のスーツを寒いからと嫁に羽織らせているのを見ると何だかなーって思うし、司会している「America's Got Talent」という番組を見ても何だかなーとやっぱり思う。この人が輝いていたのは、ニコロデオンで自分の番組をやっていた頃から「Drumline / ドラムライン (2002)」の頃までかなーとも思った。その時期と、クリスティーナ・ミリアンと付き合っていた時期が重なるのもあって、彼女あってのニック・キャノンかな...とも思っていました。偶然にもこの映画で恋人となる女性の名前がスペルこそ違えど「クリスティーナ」。この映画の中でその名前を呼ぶ切ない顔が、この映画には偶然にもピッタリと重なってしまった為か...この映画でのニック・キャノンは中々。少なくとも、ミスター・キャリーではない存在感の出してます。ニック・キャノンは私は未だに「コメディアン」として認識しているんですが、マライアと結婚した時には「俳優」だの「ラッパー(ん???by多くの本物のラッパーの声代弁)だの書かれてましたね。この映画を見る限り、俳優が一番近くなったのかなーと感じました。
ベーカーズフィールドというカリフォルニアの都市が舞台。まあ、映画でこの都市が舞台となるのもそんなに多くないと思います。ロサンジェルスとサンフランシスコの中間というか、もう少し内陸に入った所。ロサンジェルスやサンフランシスコのような大都市でもないけれど、小さな都市という訳でもない、平均的なアメリカの都市を感じさせてくれます。そういう普通なアメリカに住む「アメリカ人息子」が主役な訳です。そのアメリカ人息子であるマイク(ニック・キャノン)が、海兵隊のブートキャンプ(新しい軍人をトレーニングする厳しい訓練)を終えて、感謝祭の4日間の休暇で故郷のベーカーズフィールドに戻ってくる所から物語が始まります。その休暇後には、マイクはイラク行きとなります。イラク戦争映画でも、戦争の中の事でなく、行くまでが物語というのも珍しいですよね。イラク戦争は、そこまでと帰ってきてからもドラマがあったりしますね。そーいえば「Home of the Brave / 勇者たちの戦場 (2007)」もイラク戦争の中身というよりも、帰って来てからの物語だった。現在進行形の戦争なので、戦争についての核心はついてない映画が多いですが、戦争に関わった人々の心の変化とか心境とかの核心をついている映画が多いと思います。アメリカ人息子がなぜに戦争に行かなければならないのかが、出口なしの若者の状況を麻薬に染まっていく戦争には行かないアメリカ人息子との対比で上手く描いている。行かない方は置いていかれたと思っているけれど、行く方にとってはイラクなんかに行かない方が良いに決まっている。そういうズレがいいですね。そしてマイクが小さな幸せにはまっていく心情の変化も観客は痛い程分かる筈。この映画のヒロインがメロニー・ディアス。「Be Kind Rewind / 僕らのミライへ逆回転 (2008)では、モス・デフとチャーミングなちゅーをしていた女性ですね。この女性も、誰もが認める絶世な美女...ではないけれど、何かチャーミングなんですよね。この映画でもそう。マイクが一目惚れしちゃうのは、無理あるでーと思ったんだけど、最後には何か分かる魅力。不思議な魅力の女優ですね。
んーーでも、この前のビヨンセが出ていた「Obsessed / オブセッション 歪んだ愛の果て (2009)」とは逆で出来は悪くないのになぜか愛せない映画なんです。ちょこちょこっとした部分が気になるというか、気に障るというか... 美人にはトゲがある...じゃないですが、その部分が魅力の一つになれば良かったんですけどね。何かその部分が引っ掛かってしまいます。インディペンデンスの最高峰のサンダンス映画祭に出しましたが、受賞には至りませんでした。多分、その部分が観客に響かなかったんじゃないかと。軍のオーダーは絶対なので、あのラストは女性には今ひとつかもしれないですね。戦争と恋愛を絡めたんですが、結局メッセージ性を狙って戦争映画になってしまったんです。とは言え、戦争映画だと思ってみると、絶対にコケる。政治映画としても...んーーー。悪くはないんだけどな。んーーー。
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(3.75点/5点満点中:DVDにて鑑賞)