これまた「Seven Pounds / 7つの贈り物 (2008)」に続いて最後までミステリアスな物語です。ドン・チードルが主演で、アメリカでは公開されましたがさほど宣伝もされなかったので注目を集める事はありませんでした。中々面白いストーリーです。謎も途中で読めてきますが、それでも観客は飽きずに食いついて最後まで見てしまうと思う。謎という部分だけに頼ってませんから。甘いと思うかもしれないけれど、それでも実際こうだといいなと思わせてくれます。ちなみにこの映画のアウトラインはあの喜劇俳優のスティーブ・マーティンが考えた物だそう。全然スティーブ・マーティンぽくないシリアスな作品なんですよ。ま、でもコメディらしい甘いスイートな感じではあります。「Bringing Down the House / 女神が家にやってきた (2003)」を撮影中にこの物語を思いついたそう。
アラブのテロリストの話しです。アラブ人には「Vantage Point / バンテージ・ポイント (2008)」でもテロリストを演じていたサイード・タグマウイが登場します。「バンテージ・ポイント」でも良かったけれど、今回も良い。ドン・チードルとの絡みが最高です。彼はフランスの「Hate / 憎しみ (1995)」にも出演。その作品は後日また。
今はさすがにアラブ関係の映画が多いですよね。ここでもアラブ人はテロリストとして出てきますが、中々面白い台詞を言っています。「アメリカ人はすぐに忘れてしまうが、昔はアメリカ人がイギリスにとってはテロリストだったんだぜ」という台詞です。アメリカだって、そうやって国を作ったじゃないか?という、アラブの主張です。ドン・チードル演じるサミア・ホーンはミステリアスです。でも所々にヒントとなる鍵が隠されていて、その一つがマーティン・ルーサー・キング牧師の言葉だったりします。テロリストが非暴力を信じて戦ったキリスト教の教えを説くキング牧師の言葉を引用する。それを聞いた相手は冗談だと思って笑ってしまう。でもそれがホーンを知る鍵となっていると思いました。そしてホーンの存在は、ホーンの父を殺した人達への仕返しだったのかもしれません。
そしてこの映画では「martyr(殉死)」という言葉も沢山出てきます。それについてのホーンの言葉が良かった。宗教も人も使われているだけなのかもしれません。
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(4.25点/5点満点中:DVDにて鑑賞)