昨日の「Favela Rising / ファヴェーラの丘 (2005)」を見た後に、そういえばアフリカが題材で似たような映画があったよねー...という事で見ました。これまた勢いです。
南アフリカのアパルトヘイトを背景に、歌がどのようにしてそこでの戦いに関係していたか。とっても分かりやすく力強い内容でした。アパルトヘイトの歴史も凄く分かりやすく説明されているので、映画にも入り込みやすいです。アメリカの公民権運動と同じで、恐怖という物が支配してしまうと、中々打開するのは難しい。非暴力という道徳を使っても、人々にこびり付いた固定観念を取り除く事も難しい。戦いと共に歌もどんどんと変化していく。80年代に入り、アパルトヘイトと戦っている人達も銃を持ち始めると、絶望感が漂う曲も増えてくる。
ここで語られている殆どの事が悲しくなるような事ばかりですが、女性として一番腹が立ってしまったのが、妊娠中だった女性が刑務所でお腹を蹴られて破水してしまい、そのまま放置された事。人の固定観念や差別心という物は、そこまで醜い物なのかと思わされました。その女性は、トイレも監視カメラで監視されている中、トイレで溺死して自殺しようと考える。もうここまで来ると耳をふさぎたくなります。彼らの歌でもあるように「彼等が一体何をしたんだ?」と言いたくなります。
当時警察として行進などの警備をしていた警察官達が「あの歌にはイライラさせられた」と語っています。戦う者にとっては士気を高め団結する歌が、相手にとってはイライラさせる物だったとすれば、やはりその歌は真実を歌っていたからだと思いました。歌は時に直にメッセージを我々に伝え、時に隠語のように隠れた意味を汲み取る物でもあるように思います。
この映画はアパルトヘイトの歴史と、その戦いでの歌の歴史がいい形で残されているように思います。
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(5点満点:DVDにて鑑賞)