Cast >> Jamie Foxx, Regina King, Kerry Washington, Aunjanue Ellis, Terrence Dashon Howard, Harry J. Lennix, Clifton Powell, Larenz Tate, Bokeem Woodbine ....
Director >> Taylor Hackford
Writer >> James L. White, Taylor Hackford
Producer >> Taylor Hackford, Ray Robinson Charles Jr. ....
Genre >> Drama
Point >> 4.75
Contents >> 4 Performance >> 5 Direct >> 5 Music >> 5
伝説が伝説を生んだ。
主演のジェイミー・フォックスが演じたレイ・チャールズという人物は、おそらく誰もが名前くらいは知っている音楽界の伝説だろう。その伝説レイ・チャールズを演じきったジェイミー・フォックスも、本作品以降、必ずや映画界の伝説に名を刻むに違いない。
映画の中で伝説の人を演じようとすると、演じる側のそれまでのイメージが付きまとい、演じられる人物とのギャップを生む。しかし、今回フォックスが演じたレイ・チャールズは、きっと誰もがすぐに脳で「レイ・チャールズだ」と認識出来る程の変貌ぶり。レイ・チャールズらしい台詞の面白さも、フォックスのコメディアンとしてのキャリアを生かし、絶妙の間で観客を笑わせる。ピアノマンとしてのレイ・チャールズを取っても、ピアノの奨学金で大学まで通っていたフォックスの才能が、十分にスクリーンに生かされて、演奏中の無駄な動きが全くなく、ナチュラル。また、俳優としてのフォックスらしい、絶妙のタイミングで、感動的な台詞を残し、多才なフォックスにしか出来ない存在感を十分にアピールしている。
また、長いレイ・チャールズの音楽生活の中で、監督のテイラー・ハックフォードが、1960年代のレイ・チャールズに拘った理由は、きっとレジーナ・キングが演じたマージ・ヘンドリックスにあると思う。また、そうしたくなる程のパワーをレジーナ・キングは持っている。キングの台詞は、ただでさえ強い台詞なのに、彼女が発するとより一層力を増し、印象が強く残り、感動する。今回も、キングのそんな良さが十分に生かされていて、「ツアー中は、私がレイ・チャールズ夫人よ」という言葉が、映画の中で一番印象的であり、レイ・チャールズという人を一番表現していた言葉と感じた。
ただ、全体を通して見ると、物語が長い。私が劇場に見に行った時には、途中で多くの若者が席を立ち、劇場を後にしてしまった。彼等のような若者にこそ、見てもらいたい作品な筈なのに。同じような音楽ドラマ映画だと、ロバート・タウンゼントの「The Five Heartbeats/ファイブ・ハーツビーツ」や「Little Richard/リトル・リチャード」、「The Temptations/テンプテーションズ」等の佳作が多いが、それらの作品と比べると、作品と観客が一喜一憂出来る何かが足りなかったように感じた。若者が夢中になるような話題があって欲しかった。
ジェイミー・フォックスとレジーナ・キングの2人がスクリーンに映るだけで、ドラマが生まれ、伝説が生まれた。
(11/12/04)