What Would Martin Say? - Clarence B. Jones

What Would Martin Say?

この前に書いた「マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師関連の面白い本」がこれです。
いやー、本当に面白かった！著者のクラレンス・B・ジョーンズについては、「政治」のカテゴリーで何回か名前を出したのですが、キング牧師のスピーチライター及び弁護士として活動していた方です。今の状況を見て、キング牧師だったら何と言うか？という内容。キング牧師がバーミングハムで刑務所に入っていた時に書かれた本「バーミングハム獄中からの手紙」は、キング牧師がトイレットペーパーに書いた文を、唯一面会の許されていたジョーンズが看守の目を盗んでパンツの中にしまって持ち出して本にしたという。そのように、様々なキング牧師との思い出や苦労を掘り起こして、回想録というだけでなく、ジョーンズの体にキング牧師の精神を乗り移らせて書かせたような本でした。キング牧師の側近だけあって、本当にキング牧師がそういう風に今の世の中を見ているんだろうな...っていう説得力があります。ケネディ兄弟についても、中々興味深いですね。彼等の本心というかが、見え隠れしてます。ケネディ兄弟の表面しか知らない人々はびっくりするかも？これは映画「King / 日本未公開 (1989)」でも同じように描かれていたけれど。一番最後の「彼（マーティン）を殺した者には何と言うか？」という章は凄く興味深いと思います。実際の暗殺者であるジェームス・アール・レイという名前よりも、FBI長官のJ・エドガー・フーヴァーの名前の方が沢山出てくる。また、クー・クラックス・クラン等に代表される組織の性質から、1人で犯行するのは疑問が残るとしている。確かにKKKの儀式は見せしめのように、わざと大勢の前で黒人を殺した。エメット・ティルの時もそう。14歳の少年を大の大人の3人で殺害に及んでいる。ジミー・リー・ジョンソンもだし、ボランティアの白人女性ヴィオラ・ルイーゾの時もそう*1。ジョーンズは強い口調で「彼等は1人で出来るような勇気もなければ強さもない」と書いている。確かにジェームス・アール・レイを見て、そういう勇気がありそうな男には見えない。今年、キング牧師関連の特別番組を沢山見た。CNNのもヒストリーチャンネルのも、レイが1人で犯行に及ぶ事が出来るか...というもの。確かにレイのような素人1人で、しかもたったあの一発の弾丸でキング牧師の命を奪う事は可能だったと言っていた。でもやっぱり腑に落ちない。こういう状況に言うだろうキング牧師の言葉が、とっても説得力あります。後40年だろうが、100年だろうが、いつかは...

是非読んでもらいたい本。確かに難しい単語もあるけれど、それも勉強だと思って欲しい。でも思っているよりは難しくないし、割りと読みやすい筈。得る物は大きいです。

*1:メドガー・エバース暗殺は1人の犯行。ただし、後ろから撃っている