原作が分からなかった人に薦めたい『Between the World and Me』
タナハシ・コーツといえば、今や説明も要らないくらい有名な作家であり、私にとってはマーベル・コミック版『ブラックパンサー』のストーリー担当の強者。そのタナハシ・コーツ著書『世界と僕のあいだに』を舞台化した作品を、テレビ映画化した作品。と書いても、意味が分からないと思う。『世界と僕のあいだに』は物語ではないのだから。舞台もそうなのだけど、『世界と僕のあいだに』を役者や歌手などの有名人たちが朗読しているのです。主演は、マハーシャラ・アリ、アンジェラ・バセット、アンジェラ・デイヴィス、アリシア・ガーザ、ジャレール・ジェローム、ジョー・モートン、ヤーラ・シャハディ、T.I.、ブラック・ソート、コートニー・B・ヴァンス、オプラ・ウィンフィリーなど。ちなみにですが、『The Equalizer 2 / イコライザー2 (2018)』で、デンゼル・ワシントン様演じるマッコールや、『ルーク・ケイジ』でもルーク・ケイジが読んでいたのが、この『世界と僕のあいだに』です。
15歳になる息子に伝える、アメリカのこと、アンジェラ・デイビスのこと、マルコムXのこと、そしてこの国で殺されたエリック・ガーナーのこと、タミア・ライスのこと、マイケル・ブラウンのこと、トレイヴォン・マーティンのこと、サンドラ・ブランドのこと、そして自分が通ったハワード大学でのこと、同窓のチャドウィック・ボーズマンのスピーチのこと、友人だったプリンス・ジョーンズが殺されたこと、プリンスのお母さんのこと...
そんな感じで、本からは少し足して(ボーズマンのスピーチとか)おります。それぞれ有名人たちが朗読するのですが、本を見ながら朗読するのではないです。でも、その有名人たちがそれぞれ演出している感じですかね。その人たちの特徴がちゃんとあって面白いです。もう、『The Brother from Another Planet / ブラザー・フロム・アナザー・プラネット (1984)』とか『Scandal / スキャンダル 託された秘密 (2012-2018)』で知られるジョー・モートンは、声の低さもあって重厚感があり、演出もあってゾクゾクしました。だからこそ、一番いい場面を担っております。IMDBにはなぜか載っていないのですが、『メッセージ』でアカデミー撮影賞にノミネートされたハワード大出のブラッドフォード・ヤングが撮影を担当しており、ヤーラ・シャハディのシーンとか素敵です。正直に書くと、タナハシ・コーツのこの本を読んだ時、ちゃんと理解出来ているか不安だった。この作品のお陰で、その不安をだいぶ拭うことが出来た気がする。私と同じ人ような人達がいるならば、彼らに勧めたい。
(4.5点:12/04/20:1782本目)
www.blackmovie-jp.com