ミーク・ミルを見よ!『Charm City Kings』
今から書くことは、人によっては驚くかもしれないけれど、私の本心であり事実。この映画の舞台は、メリーランド州ボルチモア。ボルチモアでは、オフロードバイク文化がある。というのは、以前に製作されたドキュメンタリー『12 O'Clock Boys / 日本未公開 (2013)』で明らかになっており、このドキュメンタリーが原案となって、『Moonlight / ムーンライト (2016)』のバリー・ジェンキンスがストーリー考案の1人。そして、ボルチモア出身の女優ジェイダ・ピンケット=スミスと弟ケレーブがプロデューサーに名を連ね、ジェイダの夫ウィル・スミスの製作会社オーバーブルックが製作会社の1つ。ラッパーのミーク・ミルも出演している。サンダンス映画祭で公開し、ドラマ部門の特別審査員賞としてアンサンブル演技を受賞している。劇場公開が予定されていたが、新型コロナウイルスの影響でHBO Maxにて配信となった。
ボルチモアに住むマウス(ジャヒ・ディアロ・ウィンストン)は、14歳。シングルマザーの母(テヨナ・パリス)と妹の3人が家族で、マウスは動物病院でバイトをしていた。彼らが住む街で人気を誇るオフロードバイクに興味にあったが、兄がそのバイクで亡くなっているので、母は絶対に許さなかった。マウスは貯めたお金で小さなバイクを買うが、すぐに警察に差し押さえられ、リバース刑事(ウィル・キャットレット)に送っていってもらいながら、「しっかりしろ」と叱咤激励される。そんな時、かつて「The Clique」というオフバイクのチームにいた伝説的な人物でマウスの兄を知るブラックス(ミーク・ミル)と出会い、「自分で直せるならバイクをやる」と言われ、バイクを直すことに夢中になるが、同時にトラブルにも巻き込まれていく...
最初に書いた驚かれるかもというのは、ミーク・ミルの演技で泣いたということ。ビックリですよね、そんなことある訳が絶対にない位に思えるのがミーク・ミルだ。でも、この映画でのミーク・ミルの溢れる兄貴感が、この映画を救っているし、この映画の唯一の良心。元となった『12 O'Clock Boys』にも短絡的だなと思うところはあったけれど、こちらも悪い感じで短絡的である。そんな風に描かなくてもいいのにな、と思ってしまうのだ。犯罪と隣合わせで危険を冒してまで疾走する彼ら。正直、「走れなくて、可哀想」とは思えなかったのが全て。
(3.5点/1773本目)
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