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Beats / ビート -心を解き放て- (2019) 1705本目

青年と大人が負ったそれぞれの傷『ビート -心を解き放て-』

シカゴのサウスサイドを舞台にしたヒップホップ映画。しかも元々ミュージックビデオ監督として有名で、その後は『ATL / 日本未公開 (2006)』でヒップホップ映画の実績、そして『The New Edition Story / 日本未公開 (2017)』でも音楽映画の実績のあるクリス・ロビンソンが監督。『ふたりの男とひとりの女』や『Hustle & Flow / ハッスル&フロウ (2005)』のアンソニー・アンダーソン主演。Netflixにて配信開始。

高校生のオーガスト(カリル・エバレージ)は、友人と遊んでいた所、迎えに来た姉(ミーガン・ソーサ)と共に銃弾の被害に遭い、姉は亡くなり、オーガストには胸の傷痕とPTSDが残った。オーガストの通う高校で学校のセキュリティをしているロメロ(アンソニー・アンダーソン)は、同校の校長であり別居中の妻から登校拒否している生徒の中から5人連れ戻してきて欲しいと頼まれ、そのリストに入っていたオーガストの家に向かう。オーガストはドラムマシンなどで「ビート」を作っており、その音色にロメロは夢中になった。ロメロは、元有名音楽マネージャーだったのだ。事情があって離れているが、ロメロはオーガストの音楽の才能を開花させようと躍起になるが...

これ観た時思ったのが、『ハッスル&フロウ』のキー(アンソニー・アンダーソン)が出世して、そしてシカゴに行って失敗してるぅうううう!でした。カップホルダーを壁に貼りつめていたのが懐かしい。そして、シカゴのサウスサイトが舞台で音楽プロデューサーということで、あの人の名前が何度も出てきます。Kanye Westですね。Kanyeは大学中退で、交通事故からの復活だった訳ですが、この物語は「今のアメリカ」を反映して、銃暴力による傷痕となっている。そんな「今のアメリカ」の傷を負った青年がどのように立ち上がっていくか?がメインなのだけど、アンソニー・アンダーソン演じたロメロという大人の過去も明らかになって、業界の影なんかも描いているので、割りと重め。というか、長いですね。それを一番感じた。クリス・ロビンソンはテンポ良く音楽の良さと楽しさを、土地柄などを含めたその語る人物の個性を見せるのが上手い監督だと思っていたけれど、今回はそのロビンソンの良さが生かされていないと思った。テンポが悪い。そしてアンソニー・アンダーソンは、セリフの面白さと真面目なドラマ要素のバランスが上手く取れる俳優の1人。今回は最初の方で高校生に絡むセリフが面白い。「オークタウン’ズ357」とか高校生知らないって!でも終盤のドラマぽいところが湿っぽいかな。と、監督も俳優も良い所が生かされていない。でも、「今のアメリカ」の現状をこの映画にも反映させようとしているのは伝わった。オーガストのお母さん(ウゾ・アドゥバ)が、オーガストをあのようにしてまで必死に守ろうとするのは理解出来た。だって娘を失っているんだもの。残された息子は必至に守ろうとするよね。お母さんも十分にPTSDな訳です。

「今のアメリカ」のせいで高校生の傷痕と大人が過去の過ちから負った傷痕。その両方の傷痕は中々癒えることはない。せめてオーガストのような傷を負う人々が減りますようにと祈るだけだ。

(4点:1705本目)
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