ついでにTVシリーズ版『黒いジャガー』をおさらい!
70年代の『黒いジャガー』3部作を追いましたが、黒人映画で3部作というだけでも凄いことなのに、TVシリーズ化までしているのです!これって、本当に…本当に凄い事なんですよ。あり得ない位。しかもアメリカ3大ネットワークの1つであるCBSが放送。日本で言う所の「火曜サスペンス劇場」のCBS版とでも書きましょうか... CBSは1時間半のテレビ映画のような作品を放送する「火曜夜の映画劇場」みたいな感じの枠が当時あったのです。なので毎週放送されていた訳じゃなく、色んな作品が交互に放送されており、この『黒いジャガー』も2-3週間置きに放送されていたみたいです。そして、そうなんです。45分程度ではなく、毎回しっかり75分ほどある。
そして、今回はなんとアイザック・ヘイズのアレ(「黒いジャガーのテーマ」)が使えております!でも歌なしのインストゥルメンタル版ですけどね。でも全然ないよりあった方が全然良い!でもテレビ版には、ゴードン・パークス監督も原作・脚本のアーネスト・タイディマンは関係なし。でもタイディマンは「原案・キャラクター」で毎回クレジットはされていたが、直接的に関わってはいないと思う。お金は入っただろうけど。そして映画3部作の最後『Shaft in Africa / 黒いジャガー/アフリカ作戦 (1973)』も前作の2作とは違う顔ぶれだったけれど、このTVシリーズ版もまた全然違う顔ぶれ。主演のリチャード・ラウンドトゥリー以外はみな新しい人たち。なので、『Shaft in Africa / 黒いジャガー/アフリカ作戦 (1973)』とこのTVシリーズ『Shaft / 黒いジャガー (1973-1974)』は、オリジナル『Shaft / 黒いジャガー (1971)』&『Shaft's Big Score! / 黒いジャガー/シャフト旋風 (1972)』とはそれぞれ別物と考えた方が妥当。
とはいえ、エピソードにも寄るけれど、割りと『黒いジャガー』のこと分かってる!という回もある。エピソード1の「The Executioners」などは、シャフトと言えば窓ガラス蹴破りでしょ!って感じで、そんなシーンもあるし、超悪っいシステム側の人たちをやっつける感じがとても良かった。そして、このシリーズ全体で、夜のNYの街をカッコいい車で流すシーンが多かった。でも残念なのがこの時代の映像に多い、暗すぎであまりハッキリと映らない事。ゴードン・パークス監督の時は、暗くても美しく残っているのに。そしてエピソード4「The Kidnapping」では、『黒いジャガー/シャフト旋風』のヘリコプターの名シーンがそのまま使われている!これにはびっくりした。予算的になんでしょうか?でも、ゲストでトニー・カーティスやロバート・カルプなんていう豪華な人たちが出てきたりもする。そして流れるクレジットで最も存在感があるのが、衣装提供の「ボタニー500」。NYの老舗ブランドです。
映画『黒いジャガー』3部作、そしてこのTVシリーズの7作のリチャード・ラウンドトゥリー演ジョン・シャフトを計10作観て思うのは、ジョン・シャフトは立派なスーパーヒーローだと。シャフトは同胞の人たちの為に動くと思っていたけれど、シャフトはそういう区別はしない。悪と善という区別もしない。悪だろうが善だろうが、助けるのに値する人ならば助ける、それだけのこと。計10作で、設定とか色々とブレたところもあるけれど、その芯の部分はブレてない、スーツやケープじゃなくてボタニー500を羽織った真のスーパーヒーローだ!