追悼バーニー・ケイシー
『I'm Gonna Git You Sucka / ゴールデン・ヒーロー/最後の聖戦 (1988)』や『Hit Man / 日本未公開 (1972)』などで知られるバーニー・ケイシーが、火曜日(9/19)にロサンジェルスの病院で他界した。78歳だった。死因などは明らかにされていないが、数日前から病気で病院に入院中だった。
バーニー・ケイシーは、ジム・ブラウンのフォロワー的な存在で、元々は1961年にNFLのサンフランシスコ・フォーティナイナーズに1巡目9位という高い順位でドラフトされたNFLのスター選手だった。ポジションはワイドレシーバー。プロボウル(NFLのオールスター戦)にも参加しているので、NFLでの人気の高さが伺える。NFLドラフト前の大学時代には陸上競技(特にハードル)で3年連続地区大会で勝利している。
しかし元々芸術に興味があったケイシーはあっさりとその輝かしいNFLの道を捨てる。ドラフト前に通っていた大学に戻り美術科の修士学位を取ろうとしていた。NFLはケイシーにとって足がかりの一つだったのだ。当時のインタビューでこう語った。「人々は驚異的な才能の組み合わせを持っている。ある人は海に潜る仕事をしながら、素敵な陶器を作る人までいる」。そしてケイシーは25歳の頃から演技の訓練を受けていた。NFLシーズン8年で引退。
映画デビュー作は『荒野の七人』の続編『新・荒野の七人 馬上の決闘』(69年)。その次は、ジム・ブラウンが主演の『...tick... tick... tick... / …チック…チック…チック (1970)』に出演。そして3作目にしてブラックスプロイテーションの『Black Chariot / 日本未公開 (1971)』に出演。そしてテレビ映画の名作『Brian's Song / ブライアンズ・ソング (1971) (TV)』では、フットボール選手を演じた。
その後はブラックスプロイテーションの主演や出演などを中心に活躍していく。ブラックスプロイテーションのエポックメーキングの一作『Cleopatra Jones / クレオパトラ危機突破/ダイナマイト諜報機関 (1973)』では、主役クレオパトラ・ジョーンズの恋人役を演じている。そして悲劇のNBA選手を演じた『Maurie / ビッグ・モー (1973)』のタイトルロール、ブラックスプロイテーションのファンのカルトフェイバリットである『Hit Man / 日本未公開 (1972)』、そしてイロモノ好きにはたまらない『Dr. Black, Mr. Hyde / 日本未公開 (1976)』などでは主演を務めている。そしてブラック・マフィア・ファミリーのジョージ・ジャクソンとアンジェラ・デイビスをモデルにしたポリティカル・ブラックスプロイテーションの『Brothers / 日本未公開 (1977)』でも主演を演じている。そしてなんと言ってもブラックスプロイテーションのパロディコメディ『I'm Gonna Git You Sucka / ゴールデン・ヒーロー/最後の聖戦 (1988)』にて、あのジム・ブラウンやアイザック・ヘイズよりも重要な役割である主演を助けるメンター的な役割をするジョン・スレイドを演じている。本当に幅広いジャンルのブラックスプロイテーションで活躍してくれた。
80年代以降は、ジェームス・ボンドの『ネバーセイ・ネバーアゲイン』や、TVシリーズ『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』のカルビン・ハドソンなどの誰もが知るシリーズに出演したり、『ビルとテッドの大冒険』や『ナーズの復讐/集結!恐怖のオチコボレ軍団』に『スパイ・ライク・アス』などのコメディの名作にも出演している。
ブラックスプロイテーションだけでなく、アクションからコメディまでと多方面で活躍してくれたベテラン俳優でした。ここに書いた作品で観れた作品はほぼみんな好きだし、どこで見ても本当にいつもダンディでカッコ良くて素敵だった。いつも素敵な男性像をありがとうございました。私はずっとずっとそんなバーニー・ケイシーが大好きでした!亡くなってもう姿を見れない事は寂しいし辛いけれど、病院で愛する人々に囲まれて亡くなったと聞けた事は唯一の救い。どうか安らかに。