スプレーで描かれた色とりどりのグラフィティ。今じゃ日本でも見かける。横浜とか有名だけど、今もあるのかな?映画でも『Wild Style / ワイルド・スタイル (1983)』の成功のお陰で、その続編的な『Style Wars / スタイル・ウォーズ (1983)』に、グラフィティの今がドラマ化された『Gimme the Loot / ギミー・ザ・ルート〜NYグラフィティ〜 (2012)』などと数多くの名作を生んだカルチャーの一つ。そんなグラフィティの過去と今を当時のアーティストたちが振り返り語るドキュメンタリー。
このドキュメンタリーで好きなのが、ニューヨークだけじゃなく、フィラデルフィアも追っている所!今までの映画の中ではニューヨークしか語られなかったので、フィラデルフィアもそんなに熱くて、凄いアーティストが居たのは知らなかった。しかもアーティストの人口はフィラデルフィアの方が多かったと、この作品で誰かが言っていた。コーンブレットとかカッコいいね。そのコーンブレッドが死んだというデマが流れ、コーンブレッドが動物園に忍び込んで象にグラフィティ描いたって話は面白い。動物愛護団体は怒るだろうけど。しかもフィラデルフィアは、2つの大きなグループがあったけれど、それらが対立する訳ではなく、繋がり協力しあっていたというのがとても良かった。
と、ニューヨークの話はもう割りと聞いている話なので、聞いた事のないフィラデルフィアの話が面白かった。
それにしても語っている当時のアーティストがみんな高齢化。あの時はキラキラしていたけれど、今は普通の中年になったなーと。有名なTaki 183とかもね。みんな割と普通の労働者のようでした。というのも、みんな若かったので、あの才能を食いつぶされたというのが正しいのかな。グラフィティもアートと認められるようにはなったけれど、大人たちが彼らを良いように使い、彼らにはお金は入ってこなかった。彼らがグラフィティを始めたのが、「俺たちの存在があるって事を気づいて欲しいっていう叫びだった」と言っていた。彼らの名前は伝説となり、人々は気づいた。しかしそれでは食べてはいけなかった。彼らはその術を知らなかった。今の彼らの姿がどの言葉よりもそれを一番物語っていて、切なくなった。
Wall Writers / 日本未公開 (2016)(4点:1544本目)