みんなの兄貴マシュー・マコノヒーがまた湿った沼地に籠る系映画第2弾。とか書いてますけど、これはみんなに知って貰いたい歴史映画。邦題になっているニュートン・ナイトを演じているのがマコ兄。南北戦争時代に、ミシシッピ州に居た男性。ここで大事なのが、ミシシッピは全米きっての黒人差別がキツい州。ミシシッピとアラバマは半端ない。そしてミシシッピ州は今は全米で一番貧しい州なんて言われ方をしておりますが、南北戦争前は農業でかなり潤っていた州。っていう、ちょっとした予備知識を入れてから見てみましょう!そうすると、この映画の凄さが分かると思います。
マコ兄が演じたニュートン・ナイトは6フィート4インチ(193センチ)もあった大男らしい。南北戦争時には映画で描かれたように南部側で戦った兵士。しかし、南軍が「ニグロ20人法」という、黒人奴隷20人を抱えている家は20人毎に1人帰れるという法案が出来てから反発(奴隷40人居たら2人、奴隷60人なら3人帰れる)。つまりこの法律は、奴隷を多く所有しているお金持ちの為の制度。当時の南部の白人でもやはり持つ者と持たない者が居た。ニュートンの祖父は多くの奴隷を保持していた大金持ちだったらしいが、ニュートンの父はそれを相続しなかったので、ニュートン自身も奴隷を保持していなかった。映画では違う描かれ方をしていたが(ネタバレ回避の為口濁す)、父が病気になったので休暇を貰い、そのままドロンでAWOL(無断欠勤)。逃亡兵という事で追われ逮捕され、嫌がせなどを受ける。そして映画でも描かれた南軍のあの人たちとの闘いがあり... ニュートンが湿った沼地で反乱軍を形成している事が明らかになる。
と、映画と事実はやっぱりちょっと違うんですよね。でも、見やすく分かりやすい変更の仕方で、大事な所は変わらないので、全然良い。どのようにニュートンがジョーンズ郡の人々を魅了し、リーダーとなっていったかが上手く描かれている。今年ノリにノッテいる男マハーシャラ・アリが演じたモーゼス役は存在すらしてないぽいですが、映画を分かりやすくして盛り上げる良い役でした。そして街の飲み屋の女主人サリーの下で働くジョージ(トロイ・ホーガン演)の優秀さよ!
なんていうか、周りに完全に流されて疑問に思いながらやっている中で、それは違う!と立ち上がる勇気って、今でもかなり重要。でも普通の人は中々出来ない。流される方が楽だから。権力に立ち向かうのって大変だから。でもニュートンは違った。昔は反逆者で斬新で変わり者だったかもしれないけれど、今となったらマコ兄が映画で演じる程の英雄になったのだ。自分も1番最初に立ち上がれるのか?自分への課題である。
南部ってきっと人種差別が酷い所だと思われている。確かにそう!アメリカの別の所に住んでいた時とは明らかに違う。もうね、レベルが全然違う。あからさまに差別してくる。白人のお爺ちゃんとか私を人間扱いしていない事が非常ーーーーに多い。外国人移住者=末端の労働者位に決めつけてくる。こんな事は今までなかった。でもその一方でものすごーーーーーーく優しくてスイートな人も居る。別の人種の人と家族同然に話が出来たり関わったり出来る人も居る。南部ってレベルが1か10。極端なんですよ。ニュートン・ナイトみたいな人も居る事実も映画で知って貰えるのが嬉しいですね。
で、この映画の素晴らしさは、ニュートン・ナイトの末裔がミシシッピ州で長年の恋人と結婚したが、彼には1/8の黒人の血が流れているのでミシシッピの法律では禁止だと裁判を起こされた事も同時に追っている事。映画では割りと現代ぽく見えたけれど、起きたのは1948年。先日の『Loving / ラビング 愛という名前のふたり (2016)』で描かれたように、アメリカでの異人種結婚が法律で認められたのが1967年。
戦いは終わらないー!!!
(4.25点/5点満点中)
映画『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』公式サイト 2017年2月4日(土)全国順次公開