スパイク・リー監督最新作。最近のスパイク作品とは違って、割りと評判が良い。アマゾン・スタジオが制作したが、オスカーを狙える為にと小規模ながらアメリカ大都市の劇場でも公開。って事で、うちは大都市じゃないのでやってきませんでしたよー!ごりゃ!でも、アマゾン優しいのね、自社の儲けよりも、オスカーなんて。って、オスカーにカスリともしませんでしたが... 公開前から、シカゴとイラクを掛けたそのタイトル『Chi-Raq(シャイ=ラク)』を巡って論争となった作品を!
シカゴの街で過激な歌詞のラッパーとして人気となっていたシャイ=ラク(ニック・キャノン)。彼は「スパルタン」のリーダーでもあった。対立する「トロジャン」のリーダーがサイクロップ(ウェズリー・スナイプス)で、シャイ=ラクがライブ中にトロジャンのメンバーの1人が発砲した。無傷のシャイ=ラクは戻ってくると、彼女のリュシストラタ(テヨナ・パリス)といちゃつく。しかしまたトロジャンがシャイ=ラクの住処を襲い火を放った。裸同然で逃げ出すシャイ=ラクとリュシストラタ。その姿を見た向かいに住むヘレン(アンジェラ・バセット)は、呆れて首を振った。しかし次の日に小さな女の子がその闘争の故殺された事を知るリュシストラタ。その女の子の母親(ジェニファー・ハドソン)の涙やヘレンに話を聞いて開眼。リュシストラタは、トロジャンのメンバーの彼女に話をつけに行き、スパルタンとトロジャンの彼女たちは団結し、彼らが闘争を止めるまでセックスストライキを行うと、街の陸軍州兵基地を占拠してしまうが...
いちようギリシャの喜劇戯曲「女の平和」のリメイク。音楽や踊りを取り入れていて、初期の『School Daze / スクール・デイズ (1988)』を思い出させる作品。しかもサミュエル・L・ジャクソンとウェズリー・スナイプスとアンジェラ・バセットが共演ですよぉおおおおおおお!!!と、テンション高めになるよね。でもね、その3人が絡んでいるシーンは無いのであります。残念ー。あ、スナイプスとバセットはちょっとだけ一緒のシーンありますけど。サミュエル・L・ジャクソンはこの映画で進行役?なんていうか『Do the Right Thing / ドゥ・ザ・ライト・シング (1989)』のDJ役を彷彿させる役。説明・補足係とでも言いますか... 街の事を良く知る説明係ですね。そして街を覆うポスターや落書きに、実際の事件を取り入れた台詞の数々... 最近の戦場(特にイラク。だからシカゴとイラクを掛けた題名)よりも死者を生んでいると言われるシカゴの街をどうにかしたい気持ちは伝わる。
まあそんな事もあって、本当に「あー、スパイク・リーが完全復活やぁあああ!」と食べ物を前にした彦摩呂みたいなテンションになるのですが... なんていうか、それが逆に浮世離れしちゃった感じなんですよね。まずニック・キャノンがゴリゴリなギャングスタラッパーには、どう頑張っても見えない。前にも書いたけど、ニック・キャノンはイケメンだけどコーンボール(ダサい奴)。いや、滅茶苦茶頑張っていたよ、でもねやっぱり見えないwww。頑張ってもダメな事の一例ですね。本当はいい大学行ったのに、ギャングスタに見えてしまうアイス・キューブとの差ね。そしてラストがやたらと感傷的。スパイクがあんな風に終わらすとは意外だった。あそこだけスパイクぽくない。感傷的だから余計にアメリカで実際に起きている事とは思えなかった。なんかシカゴという街、そしてシカゴの現状が見えてこなかった。シカゴへの愛を感じない。でもスパイクがシカゴをどうにかしたいというのは伝わったよ。
そしてなんでウェズリー・スナイプス兄貴にあんな変な癖のある役をやらせたんだろう??っていうね。まあスナイプス兄貴が刑務所暮らしで寂しい時に何度か会いに行ったスパイクの言う事はもちろん聞くよねっていうね。普通にカッコいいスナイプス兄貴が見たかった。なんであれがリーダーなんだ!!っていう不思議さ満開でした。
あ、主人公のリュシストラタは、「女の平和」ではリューシストラテーらしいですが、ここでは敢えて現代風にリュシストラタにしてみました。
(3.5点/5点満点中:1/9/16:VODにて鑑賞)