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ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて

Beasts Of No Nation / ビースト・オブ・ノー・ネーション (2015) 1421本目

我ら司令官イドリス・エルバがまた司令官を演じている映画。こっちの司令官はヒーロー側じゃなくて、嫌な方の司令官ですけど!ウゾディンマ・イウェアラのベストセラー「Beasts of No Nation」を注目を集めているキャリー・フクナガ監督が映画化。フクナガが脚本も手掛けている。しかもNetflix映画。ドラマシリーズでは評価を集めているNetflixが、この映画権利を12億ドルというとんでもない価格で買い取った。しかも採算取れないのに映画館でも上映する!という強硬姿勢でNetflixが総力を挙げてプッシュしている作品でもある。

アフリカのどこか。アグ(エイブラハム・アッター)は友達と共に遊んでいる。テレビの枠組みだけを持ち、近くに駐在している軍人にそれを売ろうとしていた。映らないのに買うかよ!と軍人に言われると、アグは仲間と共にテレビの枠内で踊ったりして「イマジネーションテレビさ!」とあどけなく返した。そのアグのお茶目さを気に入った軍人は、アグ達にお弁当を上げた。アグの父は教員で、母は専業主婦。優しくて頼りになる兄とまだまだ赤子の妹、そしてボケちゃったおじいちゃんと6人暮らし。父は厳しいけれど、どこにでもあるような普通の幸せな一家だった。しかしアグが生まれ育った村も内戦に巻き込まれようとしていた。父は母と妹とアグを母の家族が住む大都市に送ろうとしていたが、運転手はアグだけを拒否した。仕方なくアグは父たちと村に残った。そして戦火が村にとうとうやってきた。兄はおじいちゃんを背負い、父はアグの手を引っ張って逃げるが...

おぉん、のぉーーー!(ノω・、) ウゥ・・・ 戦争なんて憎しみしか生まない事をフクナガ監督はこれでもかって位に観客に叩きつけてくる。人が人を殺めるという行為は戦争であっても、人格が破壊され、人ではいられなくなる。残酷な悪循環を生むだけ。しかもそれを少年がやらされる。残酷、非道、最低...どんな醜い言葉もその酷さを正確に表す事なんて出来ない位の酷さなのだ。

イドリス・エルバが酷い。いつものセクシーさを封印し、髪の毛を少しハゲらせてまで、この悪ーーーい司令官を熱演している。いつものイドリスが好きなファンはかなり引く事になるだろう。それくらいに酷い人を演じている。しかしそんなイドリスが演じた悪い司令官も「戦争」という名で搾取されているにすぎない。司令官とは言え、戦場に出向き、命を晒している以上、彼もまたトップにとっては駒の一つにすぎないのだ。

っていう映画祭でプレミア公開して、多分一般映画ファンが見れるのは1年後になるような映画が、今やクリック一つで家で寝転がりながら映画祭と一般上映のほぼ時差なしに見れる時代になったのだ!!Netflix様様である。しかも日本でも同日に上映開始。映画ファンなら、映画は大スクリーンで見るべし!と言うべきなのかもしれないけれど、長年ブラックムービー・ファンをやっている身としては、DVDだろうがなんだろうが見れるだけマシ!だと思っている。大スクリーンなんて贅沢www 私はこの新しい形の映画が好きである。見れるという選択肢を与えてくれている。

と手放しに誉めてみましたが、同じ子供兵士を描いた作品なら『War Witch / 魔女と呼ばれた少女 (2013)』もかなり好きです。面白いのが両作品ともに「とあるアフリカの国のどこかで」として描かれている点ですかね。こうハッキリとこの国が悪い!と描けない所に闇の深さを感じます。

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(4.75点/5点満点中:10/27/15:VODにて鑑賞)