金正恩を激怒させ？、制作元のソニー・ピクチャーズがハッキングされ、重役達のメールが流出。そこにはケビン・ハートが「お金の娼婦」と書かれていたり、デンゼル・ワシントンが「海外じゃ全然売れネー」と、かなりディスられていた事が発覚し、ソニーとスター達の関係性もガタガタさせてしまったとか？とはいえ、公開すれば、攻撃するぞ！と脅かされて、ビビったソニーが「じゃあ止めます」と、いかにも日本企業ぽい（ソニー・ピクチャーズは欧米の人々に仕切られているけれど）展開で公開中止！となったのが、セス・ローゲンとジェームス・フランコ主演の『The Interview』。オバマ大統領まで出てきて「上映中止決定は遺憾である」なんて言ったものだから、それに踊らされた一般人が「えー、見たいー！」となって、結構すぐにビデオ・オン・デマンドにて上映開始され、31ミリオンドルのヒット！と、もうここまでの出来事＆出演者が全てアホ過ぎます。という私も観たいですよ。でもその騒動前からね。セスとフランコのアホっぷりは大好きなので、その2人がどんな風に北朝鮮で大騒ぎしているのか見たいに決まってるじゃん！私は2人（＆その他大勢）の『This Is The End / ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日 (2013)』を映画秘宝さんの2013年度版のベスト10で4位に選んだアホ女ですよ！彼等のアホさなんて最初から分かってましたよ。
そんなセスやフランコの前に北朝鮮に本当に乗り込んだ男達が居た。デンマークの3人である。彼等は劇団「ザ・レッド・チャペル」を名乗り、慰問の為に北朝鮮に乗り込み、そして撮影したのだ！とは言え、まず書いておかないといけないのが、金正恩の前の金正日の時代ね。3人のうちの2人は韓国系デンマーク人。どうやら小さい時に養子としてデンマーク人に引き取られて、デンマークで育った。1人は安田大サーカスのヒロをちょっと小さくしたような大男。アメリカにたまに居る韓国系のギャングぽい井出達。腕にもたっぷりのタトゥがある。デンマークではコメディアンとして活躍している。もう1人は身体障害者。車椅子に乗っているが、歩くことも出来るようだ。そしてもう1人が白人のデンマーク人。彼が監督・マネージャーとして、この劇団を率いている。北朝鮮に出向く前に、デンマークの有名なコメディ「ミセス・クリストフ」を2人に覚えさせた。ちなみにこの劇団の名前はこれから取られている。
北朝鮮に着くと、通訳としてずっと彼等についたのがミセス朴。デンマークの母国語じゃなくて、英語の会話を通訳している。彼女は通訳だけじゃなくて、どうやら3人の監視役でもある。北朝鮮に着いた時から彼等の自由は奪われる。それは北朝鮮で披露する演劇も同じだ。北朝鮮側は、北朝鮮の演出家（Jong Se Jinという人）を彼等につける。彼等のおならネタばかりの演劇を見た演出家は、それでは（俺が）ヤバイと色々と変えてしまい、北朝鮮色に染めてしまうのだった。
この映画で一番北朝鮮という国を感じられるのが、通訳の朴さんだ。彼女は祖国から離されて育った2人にとても感情的になる。とくに身体障害者であるジェイコブを「自分の息子以上に愛おしい」と言って泣いたりする。でも体の大きいサイモンの方は、北朝鮮に到着した時から「俺はデンマーク人。韓国人だと思った事は全然ない！」と言って、朴さんを困らせる。そんな朴さん、英語は上手い方。英才教育受けたんでしょうね。金日成の銅像を前にして泣いたりと、彼女の恵まれた境遇ゆえか、とても愛国心のある人。でも際どい話題などははぐらかすのが非常に上手い！デンマークの3人が英語で「プッシーキャット」の歌を歌うと、朴さんは「なぜネコの前にその単語がついているの？どういう意味なの？」と大真面目な顔。そのネコの前についている単語の隠語の事は本当に知らない様子で、わざと白人のデンマーク人が連呼するのが面白かった。ジェイコブが、最後の最後に朴さんに聞いた質問「北朝鮮には僕みたいな身体障害者はいないの？」っていう質問も見事に朴さんははぐらかす。凄い女性でしたわ。
そして3人がエンターテイメントの英才教育を受けている子供達を訪れた時も面白い。北朝鮮側はいかに自分たちの教育が素晴らしいかを見せたかったんだろうけど、3人は小さい頃から虐げられていて気持ち悪い！と、ジェイコブは特にそう感じてしまう。ジェイコブもサイモンも割りとデンマーク語で本音を語るけれど、それがバレると自分たちがヤバイと察した監督は全部変えて英語で話す。後は喜び組みって人たちなのかな？北朝鮮の可愛い若い女の子とピクニックに行く所も面白かった。
そんな状況で朴さんは3人に念を押す。「私達韓国は一つなのですよ！戦争なんて望んでないし、平和を望んでいるのです！アメリカが悪いんです！」と。で、みんなで「韓国はひとつだ！」と連呼する。怖い。でも思い出しちゃったんですよね。10年ちょい前位に、北朝鮮じゃなくて韓国の方に家族で旅行したんですよ。その時にガイド・通訳の中年の女性が付いたんです。とてもいい人で私達の為に色々と楽しませてくれたが、彼女が言った事が今でも忘れられない。「韓国はひとつですから」。
だったらなぜ「ひとつ」になれないのだ！やはり北朝鮮は不思議な国であった。
（4.5点／5点満点中：1/7/15：ストリーミングで鑑賞）
