デンゼル・ワシントン主演の作品。なぜかイギリス制作。というか、イギリスが舞台...なのでタイトルに「クイーン」が入っている訳ですよね。という訳で、ロンドン育ちの男をデンゼルが演じているので、イギリス訛りの英語を披露していますのよ!というか、さすが名優のデンゼルでもイギリス訛りは余りにも無理あり過ぎかなー。まあその辺も追々。といきなりネガティブから入ってしまいましたが、デンゼル作品なので、面白い内容の作品です!
1979年の北アイルランド、仲間と酔って出てきて車を運転中に襲われたルーベン(デンゼル・ワシントン)とフィッシュ(ドリアン・ヒーリー)。撃たれたルーベンを見事に護衛するフィッシュ。時は流れ、1982年。ルーベンはイギリス軍のパラシュート部隊としてフォークランド紛争の戦いの中に居た。そして6年が経ち、ロンドンの家路につくルーベン。どこか町は変わっていた。犯罪と麻薬が蔓延っていたのだ。ルーベンもいきなり警察からちょっかい出される。フィッシュを訪ねると、彼は足を失い車椅子生活をしていた。今までどおり仲良くするが、フィッシュは酒を煽りお金にも困った生活をしていた落ちぶれていた。昔からの知人リンフォード(ジェフ・フランシス)が警察から執拗な尋問を受けていた。リンフォードはとっさにルーベンと居たとアリバイをでっち上げる。ルーベンもそれに応えるが...
と、どうまとめるか悩むほど、この映画では細かい事が一杯おきます!でもその沢山の細かい事が、ジリジリとルーベンを追い詰めていくパターンの作品なので、どれも削れない!って感じなんですよね(いっぱい削りましたけど)。さすがにフォークランドの所は台詞だけでも良かったかな?とは思うけれど、あれはあれで、最後にジワジワと利いてくるよね。イギリス人にとってフォークランド紛争は、今の人たちの心に深く刻まれているよね。しかも、デンゼル・ワシントンが演じたルーベンのように、元々はセントルシア生まれでイギリスに渡った移民たちも従事したので、そういう人たちには尚更。しかも軍人は、国のために命を張っても、故郷に帰ってきても、英雄でもなんでもない。しかもルーベンは、イギリス人じゃないし!とか言われるし、移民の仲間からもイギリスの為になんか...とかも言われちゃう。階級を付けられて、それによって命の重さの順位を付けられるようなもの。なのに「国のために」とか言われちゃう。イギリスなら「女王のために」とか。その人たちは、自分達のために何かしたのか?と。まあそういう心の葛藤を描いた訳ですが、それがとても心に染みますね。しかも若いデンゼルは情熱的で、それが余計に切なくさせますよね。フィッシュは男前じゃないけれど、白人というだけで女にモテまくっている。デンゼルはあんな男前なのに、女は寄ってこない。寄ってきたと思ったら、超ぶっさいくで角角した子持ちの女。滅茶苦茶、それが余計に切なくさせるんですわー。って書いていて理解出来たわ!映画見ている時は、「どうしてよりによってあんなブサイクな...」とイラっイラしたもの。いや、演じている女優さんには失礼な話なんですけどね。その女優さんのIMDBをチェックすると、実は割りと綺麗なんですね。ちょっとふくよかですけど。でもこの映画では酷いでしょ。
と、ここを読んだ人は、ブサイク論しか思い出せなくなるかもですが、映画はデンゼルらしい社会派。なんていうか、舞台をイギリスに移したデンゼル版『タクシードライバー』っていう感じもするかな。あそこまで殺気だってはいないけれど、同じような状況。しかもこの映画でデンゼルはタクシー運ちゃんもやってたりするしね。でもデンゼルのイギリス訛りは無理あるわ。リンフォード役の人が本物のイギリス訛りだから余計にね。イギリス訛りを喋っている感が出ちゃうね。しかも途中で普通に訛り無い時もあるし。あとイギリスぽいなーと思ったのが、柵の所でアメリカならバスケットだろうけど、この映画ではみんなサッカーしていた!デンゼルは柵外から笑顔で見ているだけでしたけど。
あと今日の写真に使ったシーンは面白かった。アクションが多いデンゼル様ですが、このような蹴りは中々観られないですよねー。って事で。正に「キック・ユア・お尻!」ですね。写真も最高です。大きい版。
あ、忘れる所だった。我らの信頼出来る悪役ブルース・ペインが、ここでもチョイ悪で出てきますよー。チョイ悪っていうか、劇悪か!なんか『プリティ・イン・ピンク』の頃のジェームズ・スペイダーぽいね。80年代的マイアミ・バイスぽいピコピコしたスポーツカーがお似合いですこと!
最後は本当に切ない。悪い事は連鎖するし、巡っていく。
(3.75点/5点満点中:8/29/14:DVDにて鑑賞)