実は心待ちにしてました。この映画監督ロドニー・エヴァンスの前作「Brother to Brother / 日本未公開 (2004)」はインディペンデンス映画の小兵ながら、とても面白い作品だったからだ。しかもまだ無名だったアンソニー・マッキーが同性愛者という性アイデンティティに悩む青年を物凄くセクシーに演じている。私がマッキーを好きになった作品である。マッキー演じるペリーが性アイデンティティで悩んでいる所に現れるのが老人。彼はペリーに詩を朗読する。気になったペリーがそれを調べると、その詩はハーレム・ルネッサンス時代に作られた詩。その詩人の名前はブルース・ニュージェント。ニュージェントもまたペリーと同じく同性愛者として知られた人物であった。そんなニュージェントは、ペリーにハーレム・ルネッサンス時代を語っていくのだった...という物語で、LGBTの悩みとハーレム・ルネッサンスという歴史が上手く絡み合い面白い作品だった。ハーレム・ルネッサンスの描写も最高。
という訳で私の期待は高まる、高まる!またアンソニー・マッキーみたいなスターが誕生するかもしれないし... ちなみに上の作品でペリーの友人を演じたのがローレンス・ギラード・ジュニア。アダム・サンドラーの「ウォーターボーイ」でも有名だけど、今はTVシリーズ「ウォーキング・デッド」のレギュラーでも知られている。というか、私たちみたいなブラックムービー愛好家には「Straight Out of Brooklyn / ストレート・アウト・オブ・ブルックリン (1991)」の主役のデニス君で脳裏に焼きついている俳優だ!という訳で、これから注目の俳優が出てくるかもーーーよーーー!って期待度は非常に高い。「Undercover Brother / アンダーカバー・ブラザー (2002)」のシスタ・ガールのアンジャンヌ・エリスがあのハーレム・ルネッサンスの有名な作家ゾラ・二ール・ハーストンを演じていたりもした!
まだ若い無名のミュージシャンであるスタン、そして小学生の先生をやっているアニーはレストランで待ち合わせをしていた。アニーはスタンに別れを切り出す。他に気になる人が居ると。その人の名を問いただすスタン、アニーから出てきた名前は「マンディ」だった。そんな中、ウェイターのアーロン(チャーリー・バーネット)が注文を聞きに来る。事情を察したアーロンはすぐにテーブルを離れた。そしてスタンはアニーに激怒して店を去った。そしてウェイターのアーロンは同棲しているパートナーのマーカス(リロイ・マッククレイン)とは問題はなかったが、「オープン・リレーションシップ」にしないか?と切り出す。それは互いに他の人とベッドを共にしてもいいという関係。但し細かいルールを作ろうとアーロンは言う。同じ人とは2度寝ない、この部屋では寝ない等...しかしマーカスは自信たっぷりに「恋には落ちない事、それだけだ」というルールを決めた。さっそくマーカスは仕事の取引があった男にメールを送る。やってきたのは、スタンだったのだ...
と、割りと普通なLGBT映画であった。前作は脚本もこの映画監督ロドニー・エヴァンスだったが、今回のは舞台作品を映画化。脚本もその舞台の戯曲を書いた人が担当している。なので目新しい事というか、前作でやったような画期的な事がなくて残念だった。私は彼の作品を10年も待ったのに!!なんていうかスタンの気持ちがまったく理解できなかった。彼女が同性愛に走ったから、自分も?というのが分からないわー。で、その相手となったマーカスがどうしてそんなにスタンに惹かれちゃうのかも謎。新鮮だったから?この感じはヘテロだから分からないの?っていうのすら分からない。ただ一途なアーロンが気の毒だよね。しかも顔が私のタイプ。久保田利伸系。余計に気の毒度アップ。まあ最後はハッピーに終わっていますが、あれじゃあアーロンは苦労するよねー。今後も。という事で、前作とは違って今回の作品は今後の期待が出来ない作品でありましたね。まあ期待出来るのは個人的にはアーロンを演じたチャーリー・バーネット位かな?でもマッキーの時とは違って、彼の場合は役が決まっちゃいそうではある。それよりも監督!前みたいなもっとビンビンな映画を!
(3.5点/5点満点中:4/12/14:DVDにて鑑賞)