Lost in the Stars / 日本未公開 (1974) 1161本目
タイトルは変わっておりますが、「Cry, the Beloved Country / 泣け!愛する祖国よ (1951)」をミュージカル仕立てにした作品。原作は南アフリカのアラン・ペイトン。ジェームス・アール・ジョーンズで「Cry, the Beloved Country / 輝きの大地 (1995)」としてリメイクもされている作品。
物語はお馴染み。片田舎から都会ヨハネスブルクに妹と息子を探しに行くのが、田舎町で尊敬を集めているクマロ牧師(ブロック・ピータース)。その向かう列車の中で、同じ町に住んでいる裕福な白人家庭の息子と話す。都会は大変だよ、と。ヨハネスブルクに到着し、兄弟のジョン(レイモンド・サン・ジャック)のところに行く。ジョンには「ここの事はクマロ牧師には理解出来ない」と忠告する。中々、息子を探しだすのは難しかったが、刑務所に居た経歴から、今の居場所を突き止めた。そこで待っていたのが、妊娠した女の子イリーナ(メルバ・ムーア)だった。息子は居なかった...
登場人物とか物語は大体同じではあるけど、原作とはちょっと違う所が映画よりも多い。映画ではヨハネスブルクに到着したクマロ牧師を助けるのは、牧師仲間。1951年版では、その助ける若き牧師を演じていたのがシドニー・ポワチエ!台詞の無いチョイ役を除くと、2作目にて大役!!でも今回は兄弟。「Cotton Comes to Harlem / ロールスロイスに銀の銃 (1970)」の棺桶エド事レイモンド・サン・ジャック(最近遭遇率高し!)が兄弟役を演じております。映画版や原作では、売春婦になったクマロ牧師の妹が出てきたと思うが、今回はそのような妹がいる設定のみで妹は出てこない。その代わり、彼女の息子アレックスが出てくる。ラストもクマロ牧師と白人家ジャービス家の家長が協力し合うという感じだったけど、このミュージカルでは会話はあるけど、交流する事はない。
でも、でも... ブロック・ピータースが演じたクマロ牧師が最強!町の人々に好かれている優しさの感じが伝わってくるし、牧師としての威厳とか真面目さとかイメージが掴みやすい。何しろ、あんなに歌まで上手いとは!ピータースは「アラバマ物語」のトム役が有名ですが、私は「Roots: The Next Generations / ROOTS/ルーツ2 (1979) (TV)」とかも好き。
あと、見所としては70年代にパム・グリア嬢になんとなく似ていたポーラ・ケリーが出演。なんと彼女は振り付けまで担当している。そのポーラ・ケリーと、同じく70年代にブラックスプロイテーションで大活躍していたアラン・ウィークスのバーでの踊りが見所!マイリー・サイラスで話題になっている「トゥワーク(Twerk)」。マイリーがやるもう30年も前から黒人の人々がやってますがな!!ポーラ・ケリーの見事なトゥワーク!
ちなみにこのミュージカルバージョンは、元が舞台。1949年には初演。その時には、ウィリアム・グリーブスや、「Blacula / 吸血鬼ブラキュラ (1972)」のブラッキュラのウィリアム・マーシャルやジュリアン・メイフィールドなどが出演したらしい。凄い面子。
ちなみに息子のアブサロムは、聖書に出てくる名前。ダビデ王の息子。そのダビデ王に叛乱を起こして、父の手下に殺された男でもある。
最近、ポール・ローレンス・ダンバーの「The Sport of the Gods」を読み終えた。その小説もこれと同じく田舎から都会に出て苦労し、息子が変わってしまう。全て現代ではなくて古典。でも、今、自分自身がその反対...都会から田舎にいる訳なんだけど、そっちも大変よ!無いねー。色々と無いよねー。徒歩15分以内に家以外は何にもない!夜とか真っ暗!あー、ディスコもねえ、何にもねぇー!おら、銭ためて東京でベコ飼うだ!色々と住んでみて学んだのが、住み慣れた我が家でリフォームが一番だと思います...はい。都会のせいじゃないと思うよ。あー、住み慣れた我が家をー、リフォームしよーよー!1人吉幾三。
所で、有名な音楽家クルト・ワイルのスティング等が参加したトリビュートアルバムはこの映画と同じ「Lost in the stars」。クルト・ワイルはこの映画の元となったミュージカルで音楽を担当したからなんですよね。という訳で、黒人映画には詳しくないけど、音楽には詳しい!という人は、クルト・ワイルのミュージカル...という方が分かりやすいかな?
(4.5点/5点満点中:10/8/13:DVDにて鑑賞)