サンダンス映画祭にも出展した、豪華キャスティングのインディ作品。最近ではすっかり俳優業が板についたラッパーの顧問先生(コモン)が主役の男の子のヴィンセント叔父役。主役の男の子ウッディとヴィンセント叔父の人生が変わってしまう1日が描かれている。他とはちょっと違うのがボルチモアが舞台。なのでボルチモアの名所の一つ、レキシングトン・マーケットも出てきて、それもこの映画の個性の一つ。この映画では牡蠣とか蟹が出て、とても美味しそう!町並みも違うんだよね。どことなく見た目はサンフランシスコぽいんだけど、よく見ていくとやっぱり全然違って個性的。それは面白かった。私の故郷の姉妹都市の一つ。<ここからは地元ネタ>ルフロンの所によく分からない赤いモニュメントあるじゃん?あれって、ボルチモアからの寄贈なんだって!</地元ネタ> という色々な理由もあり、親しみがある。行った事はないけどね。
最初に書いた通り、まあーキャスティングが豪華!!先に書いたように顧問先生でしょ、ダニー・グローバーでしょ、デニス・ヘイスバート(Are you in good hands?)でしょ、ミーガン・グッドでしょ、チャールズ・S・ダットンでしょ、ロネッテ・マッキーでしょ、マイケル・K・ウィリアムスまで!!こんなに豪華な俳優を惹き付けたんだから、きっと脚本が良いに違いない!と思う訳ですよ。監督は新進のシェルダン・キャンディス。彼が経験した事を元に書いた。なので顧問先生が演じた叔父さんにはモデルが居る。主役の男の子ウッディが、監督。まあ実際にはこの映画で起きたような事があった訳じゃないと思うが、叔父さんはハスラー的だったらしい。ウッディには両親が居なくて、お婆ちゃんが面倒見ている。そこには監獄から戻ってきたばかりの叔父さんヴィンセントも居る。朝、ヴィンセントが車でウッディを学校まで送っていくと、同級生の女の子がウッディに熱い視線を送っているけど、ウッディは上手く答えられない。それを見たヴィンセントが激怒。「男ってものを見せてやる!」と、ウッディに学校をサボらせて、1日連れ回す事になるのです。なんで女の子に話しかけられないだけで、ヴィンセントがあそこまで激怒したのかは、私にも分からない。でもまあそうじゃないと話が進まないので、そういう事なのでしょう。
この映画観て思い出したのが「Fresh / フレッシュ (1994)」。ニューヨークの少年がドラッグディーラーになってしまっている話。衝撃的だった。この映画のウッディはドラッグディーラーではないけれど、叔父と1日過ごすだけで、そういうアンダーグランドな世界を垣間見て、ストリートスマートとして成長してしまう系。でも、「フレッシュ」みたいな衝撃度は無い。でも叔父さんが11歳のウッディに運転を教えるのは面白かった。そのシーンは後からも利いてくる。そして顧問先生がウッディをミニミーのように、自分そっくりに仕立てていくのは可愛い。顧問先生は8年間監獄にいて帰ってきたばかりとは思えない程に、素敵過ぎるね。
何かハッキリしてないんだよね。だから最後とかも、心にガッツリと刺さってこない。ウッディ少年が、ヴィンセント叔父さんよりも上手く大人を引っ掻きました事が、ウッディ少年にとっての成長だったかと言えば、疑問に思ってしまうんですよね。果たしてストリートスマートになった事が、少年にとっていい事だったのか?と。「フレッシュ」の場合はその物語の衝撃で心が抉られて、やっぱりそれは良くないなって思わせてくれた。この映画も悪くはないんだよ。デニス・ヘイスバートの悪役とか最高だしね。でもこういう映画は、やっぱり観客の心を抉って貰いたいと思ってしまうのです。
(3.5点/5点満点中:4/28/13:DVDにて鑑賞)