フォークロア(民話)の人物として語り継がれているジョン・ヘンリー。日本に比べると、それほど人々に使われている訳ではないし、完全なる車社会のアメリカだけれど、鉄道建設はアメリカの歴史とは切り離せない。前にも書いたように、囚人が労働力として使われたのが鉄道建設でもあった。フォークロアの中でジョン・ヘンリーは、鉄道建設に従事し、トンネルを切り開いていく中で、労働力を最小限に抑えられる蒸気ドリルという機械を導入し、労働者を解雇しようとした時、ジョン・ヘンリーはハンマーだけでその蒸気ドリルと戦い、なんと勝ったという英雄なのである。しかしフォークロアなので、語り継がれていくうちに、少しずつ話の内容は変化を遂げており、様々な人々が研究しているが、どれが本当かは分からない。
そんな様々な民話や伝説をドラマ化したシリーズ「Tall Tales & Legends」の一つ。こういう作品はPBSで放送されがちだけど、この作品はケーブルのショータイムにて制作され放送された。その伝説の男ジョン・ヘンリーをダニー・グローバーが演じている。そして語り手となるのが、多分架空の人物であろうクインを演じたトム・ハルス。良いよね。そしてヘンリーの妻であるポリー・アンを演じたのがリン・ホイットフィールド。という3人の名前を挙げて、ある事がぴーんと来る人はエンタメ・マニア。舞台俳優だよね。この作品も、だからか舞台ぽい。外でロケしていないのもあるかもしれない。そしてルー・ロウルズやテルマ・ヒューストンなんていう歌手が出演して歌っているのも、舞台ぽさをより一層引き立たせている。ルー・ロウルズの役は良い感じです。ジョン・ヘンリーと友達になる同僚で作業中に怪我してしまう。その事もあってヘンリーは蒸気ドリルと戦う事になるのですわ。
様々な違う見解のある民話を上手くまとめたのが、サム=アート・ウィリアムス。黒人の脚本家。主にテレビの脚本家で、ウィル・スミスの「フレッシュ・プリンス・オブ・ベルエアー」とか、マーティン・ローレンスの「マーティン」とかも書いている。
そしてジョン・ヘンリーの歌をアレンジしたのが、ゴスペルシンガーのアンドレ・クラウチ。最後にテルマ・ヒューストンが歌うのが印象的。
ジョン・ヘンリーの歌といえば、沢山の歌手が歌っているが、やっぱり聴き応えのあるのはフォークも勉強したハリー・ベラフォンテのバージョン。歌詞とかも他の人のとはちょっと違う。最後はホワイトハウスに埋められているのですわ。
(4.25点/5点満点中:3/29/13:DVDにて鑑賞)