Sparkle / 日本未公開 (2012) 1026本目
ホイットニー・ヒューストンの遺作となってしまったのがこの作品。それ故に、どうもホイットニー・ヒューストンを目で追ってしまう。ああこれからホイットニーは路線変更して、こういう女性を演じていくんだろうなって思ったら、彼女の存在が今はない事が本当に寂しく思えてきてしまいました。
この映画は「Sparkle / スパークル (1976)」のリメイク作品だが、別作品と考えた方がファンは楽。大筋は似ているけれど、肝心な所は変えてある。76年のオリジナルは、ハーレムが舞台で主役のスパークルは若干15歳。それ故に年の離れた長女のシスター(ややっこしい名前だけど)に憧れを抱いていて、かなりのシスコン気味。今回は分かりやすくモータウンの本拠地デトロイトが舞台で、スパークルは19歳の設定。シスターとは仲が良いが、オリジナルのようなシスコン気味ではない。オリジナルではスパークルの3姉妹とスパークルの彼スティックスとシスターの彼レヴィの5人でグループを組んでいたけど、今回は最初から3姉妹のコーラスグループ。年代設定もオリジナルは1958年でこちらは1968年と10年の差がある。史実と合うように設定を色々と変えたのでしょうね。確かに分かりやすかった。ただ私には一つだけ変えて欲しくない部分があった。お母さん役のメアリー・アリスの台詞「私は生まれてからずっとハーレムで生活してるのよ。ネズミが居ればすぐに分かるわ」という台詞。自分の娘シスターを無様な姿に変えてしまったサテンへの言葉。「あなたが悪い人なんてお見通しよ」って意味。この台詞をちょっと掠れ声のホイットニーが言ったら、迫力あるだろうなーと期待してたのですが、無かった| ̄ω ̄、|グスン
ホイットニーの本業は歌手。やっぱりその歌は見ごたえありました。彼女が歌った「His Eye Is On The Sparrow」というゴスペルは、どうしても涙が出てきてしまいます。この曲は「Cabin in the Sky / キャビン イン ザ スカイ (1943)」とか「Pinky / ピンキー (1949)」に出演していたエセル・ウォーターズの十八番であり、彼女のお気に入りの曲。
このエセルとは違って、ホイットニーは母親の娘を思う気持ちをたっぷり込めてしっとりと歌い上げていたのが印象的。
ホイットニーを中心に書いてみたけど、この映画で文句なしに素晴らしいのは悪者サテンを演じたマイク・エプス。アイス・キューブと馬鹿やってる印象しかないけれど、この映画では非常に上手いので、正直驚いた。「Dreamgirls / ドリームガールズ (2006)」のエディ・マーフィ的な良さがありましたね。上手くいけばオスカーノミネートもあったかもしれないけれど、この映画自体が公開後数日で全く話題に上らなくなかったからね。残念!!実はマイク・エプスってあんまり好きなコメディアンでも俳優でも無かった。彼がリチャード・プライヤーの自伝でプライヤーを演じると聞いた時には「ぜーーーーーーーーったいに無理!」位に思ってました。でもマイク・エプスのプライヤーも見てみたいかも。この映画のサテンも人気コメディアン役なので余計に。
そしてこの映画で重要なのが実はタイトルの「スパークル」じゃなくて、長女のシスターって事はオリジナルと一緒。シスターを演じたのが、あのジェフリー・ライトの妻カーメン・イジョゴ。ジョーダン・スパークスやティカ・サンプターの姉だとしても、ちょっと年取ってないか?とは思ったけれど、無茶苦茶綺麗でした。
ラストがねー。何か急に時間が無くなったのか、かなり急ぎ過ぎな印象。あれれ?ってな具合に終わっていく。観客としては、えー、ちょっと待ってーってなりますわ。
(4.25点/5点満点中:8/19/12:劇場にて鑑賞)