Sing Your Song / 日本未公開 (2011) 1022本目
ハリー・ベラフォンテと言えば、バナナ・ボートですか?野茂英雄がメジャーリーグに行った時に替え歌された曲なので、日本人にも馴染みが非常にある。でも私的には「Carmen Jones / カルメン (1954)」のハリー・ベラフォンテですね!「カルメン」のベラフォンテは、この世の物と思えない程に美しい。あの美しさに負けないのは、やっぱり当時はドロシー・ダンドリッジでしたね。やっぱり美男美女がスクリーンで恋に落ちると、こちらもドキドキ・ワクワクするもんですよ!!残念なのが歌える二人なのに、歌が吹き替えだった事かな。
後はシドニー・ポワチエの親友ね。面白いことに2人ともに西インド諸島に馴染みが深いというか、故郷は西インド諸島と言ってもいいのに、生まれは2人ともにアメリカ。ポワチエはたまたまフロリダで生まれ、ベラフォンテはハーレム。でもポワチエはバハマで育ち、ベラフォンテも幼少の頃はお母さんの故郷のジャマイカに渡り、そっちで育った。同じ時代に主演男優として活躍した2人は、本当に仲良いよね。ポワチエの自伝本にも、随所にベラフォンテが出てくる。なのでこのドキュメンタリーでも、ポワチエがベラフォンテについて語ってます。その語り口がこれまた長年の親友らしくて、良い!公民権運動家としても活躍したベラフォンテは、ミシシッピーで活動家3人が殺された時に、お金をミシシッピーまで運ばなくてはならなかった。ベラフォンテはすぐにポワチエに電話する。でも詳細は伝えない。「週末暇?」と、友達を飲みに誘うかのような電話をした。ポワチエは「暇だけど」と答えると、ベラフォンテは「じゃあ、一緒にミシシッピーに行って欲しい」と頼んだ。ポワチエは「今回は行くけど、お前もう2度と電話するなよ!」と返したという。ベラフォンテはやり手だよね。ベラフォンテがTV界で人種融合を目指したという部分は、本当に面白かった。
そしてベラフォンテは、ポール・ロブソンの弟分。カリプソを世界に広めたベラフォンテだったけど、最初の頃はジャズを歌わされたらしい。でも違うと思ってた。そんな時にとあるクラブでレッドベリーを観て、フォークに心酔する。ベラフォンテの映画でレッドベリーの話が聞けるとは思わず、びっくりした。それで音楽について色々と調べていた時にポール・ロブソンにたどり着いた。それでロブソンがベラフォンテのステージを見に行って、親交が始まったらしい。まあでもそのロブソンとの親交が、ベラフォンテも赤狩りの被害を受けた訳だけど、でももちろんベラフォンテは後悔などしてない様子。寧ろ誇りに思ってるんじゃないかな。そんなベラフォンテは今でも活動を怠らない。先日も、エンターテイメントの現在のパワーカップルであるジェイZとビヨンセが、社会的な活動をしてない事に「2人にはがっかり」と苦言。ビヨンセ、慌てたのか次の日には白々しく国連大使として頑張ってますよーってアピールしてましたよね。まあでもやっぱり、ハリー・ベラフォンテが50年以上も活動家として活躍してなかったら、ビヨンセだってビビらなかっただろうね。ベラフォンテの言葉には重みがある。語り口が素晴らしい。名言が沢山ある。
ベラフォンテが居なかったら?ワシントン大行進はあっただろうか?あのウィ・アー・ザ・ワールドは生まれただろうか?ブラット・ピットとアンジェリーナ・ジョリーみたいな活動家カップルが居ただろうか?ハリー・ベラフォンテが居なかったら… 考えただけでも恐ろしい。確実に世界をちょっと良くした人。
感想やあらすじやオフィシャルサイトはこちら。
(4.75/5点満点:8/13/12:DVDにて鑑賞)