という訳で先日に続いて観たゴスペルのドキュメンタリー映画です。先日のドキュメンタリー「Say Amen, Somebody / マザー (1982) 」はゴスペルシンガーのウィリー・メェ・フォード・スミスを追う濃いドキュメンタリーでしたが、今回のは最近作られたばかりで、ゴスペルの歴史を紐解くドキュメンタリーで、両者はどうもアプローチが違いますね。しかもこの作品、なぜかマーク・キューバンが製作総指揮を担当してます。って、マーク・キューバンの名前だけで気づいた人、ズバリNBAファンですね!ダラス・マーベリックスを買い取った人。元々成功した実業家で、映画も以前からちょこちょことやっていたけど、2000年からマグノリア・ピクチャーズを設立。割りと日本の映画をアメリカでも配給しているのがこの会社で、たけしの「アウトレイジ」とか松ちゃんの「大日本人」もマグノリア。そして私が大好きな「Night Catches Us / 日本未公開 (2010)」も、このマグノリアのお陰で全米で配給されたのです。そんなマグノリアが配給したのがこの映画。ってか、マーク・キューバンを知る人なら、「え?ゴスペル??」って思うよね。
今回は多くのゴスペルシンガー達のインタビューあり、最古のゴスペルのレコードも聴けちゃうドキュメンタリーです。黒人の歴史とゴスペルの歴史は当然のようにリンクしていて、その関係性を分かりやすく伝えている。そして先日のドキュメンタリーにも出ていた近代ゴスペルの父トーマス・A・ドーシーについても語られる。ドーシーはいきなりゴスペルミュージックをやった訳じゃなくて、元々はその正反対の「悪魔の音楽」とまで言われたブルースシンガーだった人。若い頃の写真を見るとその片鱗が伺えますね。面白かったのが、ブラインド・ボーイズ達の対決。ゴスペルを知る人ならアラバマ・ブラインド・ボーイズとミシシッピ・ブラインド・ボーイズが居る事位、ご存知な筈。両者は直接対決をしていて、その対決についても触れていた。
音楽は常に変化しているが、このゴスペルだってそうだ。昔は4人組が主流だった。その主流はR&Bに繋がっていく。そして今はお互いを刺激しあう。ゴスペルのラップだってある。ゴスペルの歴史を探るのにちょうど良いですね。まあ知る人には物足りないかもだけど。
(4.25点/5点満点中: 7/15/12:DVDにて鑑賞)