「Rejoice and Shout / 日本未公開 (2010)」を見る前に見ておこうと思い、手に取りました。
ゴスペルのドキュメンタリー。1982年の制作。82年制作なのに、ちょっと古臭さを感じた。でもそれが逆に生々しくて、この音楽の雰囲気を出してましたね。ウィリー・メェ・フォード・スミスという、ミシシッピーで生まれ、テネシーのメンフィスで亡くなったゴスペル歌手には相応しい土着的な匂いのする映像。冒頭では彼女が娘が弾くピアノと共に、老人ホームみたいな所でゴスペルを歌っている。白人の女性が彼女の歌に涙する。ウィリー・メェは商業的には成功していないが、ゴスペルの世界では尊敬されている。様々なゴスペルシンガーを支えた。それが邦題にもなっている「マザー」という愛称の所以。実際にこのドキュメンタリーの中でも、若い女性のゴスペルシンガーがキャリアと家庭の両立に悩み、「マザー」ウィリー・メェは的確なアドバイスをしている映像が見れる。そのアドバイスも、さすがゴスペルシンガーだねって思いました。神が導いてくれると。それでまた納得するのも、ゴスペルシンガーならではかと。
ウィリー・メェは、近代ゴスペルの父といわれているトーマス・A・ドーシーの元で歌っていた。このドキュメンタリーのクライマックスも、ウィリー・メェとドーシーがハイアット・リージェンシーで行われる大きなゴスペルのコンベンションに出席する部分。
感想にも書いちゃいましたが、黒人の人ってあんまり人前では涙を見せない気がする。どんなに辛いことがあっても、ほとんど泣かない。でも教会のゴスペルの前だと、恐ろしい位にみんな泣く。そういえば、この前のBETアワードでも、ホイットニー・ヒューストンの為に母のシシー・ヒューストンがゴスペルを披露した。ビヨンセの目からは涙が流れてましたね。そしてソウルジャー・ボーイからも… この場合はホイットニーの死というのもあったかもしれませんが、でもゴスペルで泣く人が多い。このドキュメンタリーでもウィリー・メェの息子が自分の母親のゴスペルで泣いてました。
人の心を呼び起こす、それがゴスペルかもしれないです。
(4.5点/5点満点中:7/14/12:DVDにて鑑賞)