Benda Bilili! / ベンダ・ビリリ!〜もう一つのキンシャサの奇跡 (2010) 1002本目
この映画の題材になったスタッフ・ベンダ・ビリリ!の皆さんはツアーで、わが町にもやってきた!ヤー!ヤー!ヤー!しかし...その日はどうしても大事な用事があった為に、行けませんでしたー。悔しさと後悔だけが残り、そのちらしを今でも取って置いてあります。このドキュメンタリー見て思った、やっぱり行っておくべきだったと!!
コンゴ民主共和国のキンシャシャ。そこでの身体障害者の問題やストリートチルドレン、そして貧困の問題等が扱われたドキュメンタリー。感想にも書いたけど、コンゴだけでなく、アフリカ全体に身体障害者の問題はある。しかも今に始まった事ではなくて、昔から存在していた。アフリカ映画の父ウスマン・センベーヌの「Borom sarret / 日本未公開 (1966)」にも出てきていた。割りとショッキングな映像で脳裏にこびりついている。支援団体もないだろうし、そういう人々への知識もないので、雑に扱われていたのがショックだった。このドキュメンタリーでもそう。彼等は自分達で手作りの車椅子を作っている。自分達の運命を受け入れ、それに真っ向立ち向かっていく姿が熱い。そんな彼らは集まって音楽を奏でる。ギター等はあるが、手作りのドラムだったり、ミルク缶で作ったサトンゲという楽器だったりを演奏している。外国人向けのレストランの前等で歌って、お金を稼ぐ事もあったストリートミュージシャン達。その軍団をまとめているのが、パパ・リッキーと呼ばれる男性。ストリートチルドレン達を助けているが、自分も車椅子生活をしている男性だ。このバンドに惚れこんで、この映画やレコーディングの手助けをした男性はフランス人の白人映像作家。キンシャシャの町で撮影中に「なんで白人がビデオ撮ってるんだよ!」って、町の人に野次られると、パパ・リッキーは「うるせぇ!お前なんかカメラも見たことない田舎者のくせに!!」とたくましくやり返す。そんなリッキーに監督は1人の少年を紹介する。彼の名前はロジェ。あどけなさが残るというか、あどけなさ全開の男の子。しかし彼が一度サトンゲを奏でると、大人顔負けの音を出す。ロジェはストリートチルドレンではないが、貧しい家庭の子供。父親は母親に暴力を繰り返し、母はトラウマのために精神に病を抱えている。しかも父親が出て行ってしまったので、その母が家を支える。そんな中、レコーディングが始まる。しかし、リッキー等が住んでいた障害者用センターが火事で全焼。リッキー達は外に放り投げだされて、またレコーディングは中止。ロジェも自分の故郷の村に帰ってしまう。ほぼ1年かかって、やっとまたレコーディングが再開。リッキーはロジェを探しに行く。そうすると、ロジェがかなり成長しているのです。今度のレコーディングは、いつも練習していた動物園で開始。
まあ何が面白いって、子供達ですかね。健常者のストリートチルドレン達は、身体障害を抱える大人を助ける。そしてその身体障害を抱える大人達は、ストリートチルドレンの面倒を見る。助け合いの構図が自然と出来ている。それと同じように、暴力を振るう父と精神が病んでいる母の間で成長したロジェは、パパ・リッキーの存在を見て、自分も男として成長していく。ロジェ少年は、音楽という自己表現を見つけた。最後のヨーロッパツアーでは、見事に成長していて、素晴らしい熱いソロパフォーマンスも見せる。成長したロジェは「俺がベンダ・ビリリを引き継いでいきたい」と語る。スクリーンの中でどんどん成長していくんですわ。
(4.5点/5点満点中:5/17/12:DVDにて鑑賞)