ドンチー事ドン・チードルが出演しているアイルランドの作品。しかもアイルランドの映画の歴史で、インディペンデンス映画として、今までの興行成績を破った大ヒット作品。主演のブレンダン・グリーソンはアメリカのゴールデン・グローブ賞にまでノミネートされた。
この映画に入りこむまで少々厳しいが、ハマってしまうとドンドンと笑けてくる、そんな映画です。最初はね、その主演のブレンダン・グリーソンが憎くてたまらない。最悪なんです、このおじさん。タイトルのザ・ガードは、日本語のガードマンというよりも警察。ザ・警察である。そういえば、在日韓国人の友達が韓国の警察の帽子には「ザ・警察」って書いてあると言っていた。そんな感じである。映画では英語で「ザ・ガード」と書いてあったり、ゲール語で書いてあったりもした。映画はアイルランドの小さな町が舞台。そこでザ・警察をしているのが、ブレンダン・グリーソン演じるボイル。N.E.R.Dの曲を聴きながら、飲酒運転でスピード違反をしている若者達には、別に注意する訳でもなく、彼等が事故で死んでしまうまで待ってしまうタイプ。というか、彼等がどの場所で事故ってしまうか、長年の勘で分かっているから、そこで待ってる訳ですよ。そして殺人事件が起きてしまう。しかも、同時に都会のダブリンから別のザ・警察がやってくる。そして更には大きな麻薬取引が行われる予定との情報を手に入れたFBI捜査官がアメリカからやってくるのです。そのアメリカからやってきたFBI捜査官がドンチー。ボイルは、ドンチー演じるウェンデルに協力しなくちゃいけない。ボイルはウェンデルに「どうせ貧しい家庭から来たんだろ!」と差別的な発言を繰り返す。酷いおっさんです。でも、そのおっさんが、赤いパンツで登場してきた辺りから、面白くなる。最後とか、すごーく笑った。あのおっさん、結構バカなんだけど、キレる。しかも最後の最後は本当にスタイリッシュ。うまく決めた感が強い。口悪いアイルランドの少年とか、ボイルのみっともない体のボディスーツとか、娼婦とか、色んな複線が上手くまとまってるんですよー。
アイルランドはイギリスも嫌いなんだろうけど、アメリカも嫌いなんだろうなーと感じました。アメリカやイギリスへの小言が沢山あります。アイルランドの知識はU2とか「Hunger / ハンガー (2008)」くらいしかない私でも笑ってしまうんですから、アイルランドの人々はこの映画で大爆笑じゃないでしょうか。ブレンダン・グリーソンが新しいタイプのザ・警察を好演してます。ドンチーはドラマでもコメディでも全然平気な本当にマルチな俳優よねー。
(4.5点/5点満点中:1/30/12にDVDにて鑑賞)